南極を初航行中の中国の極地科学観測砕氷船「雪竜2」号は15日、引き続き南極海の海域「Cosmonauts Sea」(以下「同海域」)における総合科学観測を続けた。大洋科学観測の重要機器が一部登場し、中国第36次南極科学観測隊が理想的な科学観測試料を採取するため力を添えている。新華社が伝えた。
「雪竜2」号の今回の観測は、中国の南極海における科学観測範囲を初めて同海域まで拡大した。「雪竜2」号の高い砕氷能力により、南極海の科学観測が例年より早めに開始できるようになった。一部の新型設備も使用されている。
北京時間15日午前5時頃、科学観測隊員は初めて22メートルの重力ピストン柱状沈積物サンプラーを使用し、南緯64度17分の同海域で柱状沈積物の試料採取を行い、水深3738メートルの海底から柱状沈積物の試料を採取した。
重力ピストン柱状試料採取現場の責任者である陳志華氏は、「中国が南極海で先進的な重力ピストン柱状サンプラーを使い試料採取を行うのはこれが初めてだ。得られた試料の関連成分の分析により、より遠い昔の環境に関する記録を知るようになる見通しだ。かつての南極海の氷・海・大気の相互作用に関する議論を掘り下げ、南極の大陸氷河、南極の底層水、気候変動などを解明する上で重要な意義を持つ」と述べた。
「雪竜2」号はメイン甲板から海底に直通するムーンプールシステムにより、浮氷密集エリアにおける科学観測作業が難しいという問題を解消できる。科学観測隊員は同海域でムーンプールシステムを使い、浮氷エリアのCTD(塩分・水温・圧力)採水作業を行った。海洋水文、化学、生態などの試料を取得するとともに、調査断面とエリアの系統性を確保した。
「雪竜2」号の海洋曳航断面装置などの科学観測装置も、今回の科学観測で使用される。海洋曳航断面装置は航行中に艦尾けん引装置を使い、海水の温度・塩分・葉緑体などの環境パラメータの連続的な断面情報を取得する。
第36次南極科学観測隊首席科学者の何剣鋒氏は、「新たな科学観測装置を南極海の同海域で使用することで、南極海の海洋環境調査、特に浮氷エリアの海洋環境調査の強化にプラスになる。世界的な気候変動における南極海の役割と影響への研究を掘り下げることで、南極への認識をさらに強めることができる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年12月16日