世界保健機関(WHO)のファデラ・シャイーブ報道官は21日、「メディアやSNSには今、新型コロナウイルスの発生源に関する間違った説や陰謀説が流れている」との見方を示した。WHOは、「新型コロナウイルスの発生源は動物で、研究所などで人為的に操作や作成されたものではないことをあらゆる証拠が示している」と強調している。
比較研究により新型コロナウイルスは自然界で発生と確認
米誌「サイエンス・デイリー」の最近の報道によると、新型コロナウイルスと関連のウイルス遺伝子配列を分析した結果、「同ウイルスが研究室などで人為的に作成やその他の形で設計されたことを示す証拠はない」。
この研究は、米スクリプス研究所のクリスティアン・アンデルセン准教授(免疫学・ミクロ生物学)とその率いるチームが行い、その結果が科学誌「ナチュラル・サイエンス」に掲載された。アンデルセン氏は、「コロナウイルスの菌株の遺伝子配列データを比較した結果、新型コロナウイルスは自然界で発生したことが、はっきりと確認できる」との見方を示す。
研究結果によると、その見方を以下の2点が支持している。
(1)研究室でウイルスを作るためには、既知のウイルスの主幹を頼りに開発を行わなければならない。しかし、研究では、新型コロナウイルスには、既知の全てのウイルスと異なる主幹構造が見られることが分かった。
(2)科学者の研究で、新型コロナウイルスの突起のタンパク質と、ヒトの細胞には強い結合性があり、この結合性は自然変異でしか得られない。
ABCの報道によると、テュレーン大学医学院のロバート・ゲイリー博士は自身のブログで、同じく新型コロナウイルスは研究室で作成されたものではないという見方を示し、「コロナウイルスは通常、突起を通してヒトの細胞と繋がる。そして、時間が推移するにつれて、すべてのコロナウイルスは、この点で異なる点を見せる。新型コロナウイルスの突起のタンパク質を見ると、独特の変化が見られる。その他、新型コロナウイルの主幹は、他のいかなるウイルスと全く異なり、ウイルスは研究室で作成されたのではないことを示している」と綴っている。
ゲイリー博士はABCの取材に対して、「ウイルス表面のタンパク質がいつ変異したのか、関連の変異が今回の感染流行の起点となったのかを確認することは現時点では不可能だ。ウイルスは随分前から存在しており、感染力が弱いため発見されていなかっただけの可能性もある。しかし、どうあったとしても、自然に発生したことを示している」と語った。