3月末より金の価格が新たな上昇周期に入ったことから、2013年の4月と10月に金を買い占めて世界に名をとどろかせた「中国大媽」(中国のおばさん)は、「手放すタイミングの悩み」から解放され、資産額が上昇を続けている。これと同時に貴州マオタイ酒股フン有限公司(フンはにんべんに分)の株価が上昇を続け、商品の価格もどんどん値上がりして、名酒のコレクター(マオタイのおじさん)もここ数年の投資界でダークホースになり、金を買った「おばさん」と肩を並べて草の根の投資における伝説になった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、この2種類の資産は勢いよく上昇を続ける。すると「金とマオタイとどちらがインフレ対策として投資価値があるか」が、新たな話題に浮上してきた。「中国証券網」が伝えた。
「中国のおばさん」の金が価値倍増
「中国のおばさん」の物語は、7年前に金価格が大暴落した時に始まった。当時、金価格は20%も低下した。これを受けて一時期、金を特に好む中国人投資家の心は大いに揺さぶられ、中国各地の金製品売り場では争奪戦も繰り広げられた。
それから1ヶ月も経たないうちに、中国の各大手デパートの金製品や銀行の金のインゴットはすべて売り切れた。
市場の試算では、「中国のおばさん」の13年4月と10月の上昇周期における金の購入コストは1オンスあたり1350ドル(1ドルは約107.8円)から1400ドルで、これに加工費用が加わると大体1オンスあたり1450ドル近くになる。それからの数年間、金市場は苦しい時期が続き、たまに訪れたコスト回収の機会はすぐに消え去ったが、19年の中頃になると金価格が大幅に上昇して、かつて金を買い占めた「中国のおばさん」は資産を手放す真のタイミングを迎えることになった。これまでじっと我慢していた「おばさん」のところに、ついに幸運の女神が訪れたのだ。19年末以降、金価格は大幅上昇を続け、今年3月中旬に清算の危機を迎えて一時下落したが、その後急速に回復してついに過去最高を更新した。
14年に金買い占めブームに乗った投資家の李さんは、「ちょっと意外だ。もともと(収益は)全然期待していなかったから」と話す。
金価格の大幅上昇、株式市場の利益低下により、海外の投資家の間で金購入ブームが起きている。カナダの金取引企業大手Kitcoが最近発表した報告では、ほぼすべての標準的な1オンス金貨が欠品状態で、米連邦造幣局のイーグル金貨とバッファロー金貨は売り切れ、カナダのメイプルリーフ金貨、英国のグレートブリテン、オーストラリアのカンガルー金貨といった世界で広く流通する金貨も同じく売り切れた。金・銀取引業者は、「株式市場が劇的に変動した後、多くの投資が貴金属市場に相次いで目を向けるようになった」と指摘する。
しかし注意しなければならないのは、先週のロンドンの現物取引市場と米国の先物取引市場との価格の開きが、現物価格が上昇し、先物価格が修正される中で徐々に縮小したことだ。中大先物取引有限公司の貴金属アナリストの趙暁君さんは、「ここから、実物を求める短期的な購入ラッシュが一段落した可能性があることがうかがえる。インフレ連動国債の金利(実質金利)が3月に歴史的低水準に達してから反転上昇し、金価格のさらなる上昇を抑制した。市場の変動はこのようにムードに左右されている。最近は米株は流動性リスクと悲観的予測が織り済みのため反転上昇し、金は全体として流動性の回復とリスク回避ムードに支えられ、再び上昇ムードを迎えた。米株が引き続き潜在的な感染症終息への期待感を反映し、これからFRBと米財務省が大型の政策パッケージを相次いで打ち出す見込みの中、金と米株の共振はこれからも続くとみられる」との見方を示した。