安倍首相辞任は日本各界に不意打ち 経済回復に新たな変数

人民網日本語版 2020年08月31日14:13

日本の安倍晋三首相は28日に健康上の理由で首相の職を辞任すると発表した。日本の各界にとってはまさに不意打ちで、東京証券取引所では2大株価指数がこのため暴落した。新型コロナウイルス感染症の影響で、日本経済が深刻な衰退に陥る中、かつて経済政策「アベノミクス」で日本を回復へと導いた首相が突如辞任することにより、日本経済に新たな変数が加わることになった。新華社が伝えた。

2012年12月、安倍氏は首相に返り咲き、経済振興の「3本の矢」、すなわち大胆な金融緩和政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を打ち出した。アベノミクスに牽引され、日本経済はゆっくりと回復軌道を歩み始め、株式市場と不動産市場が大幅に回復上昇した。

しかし日本内閣府経済社会総合研究所(ESRI)が認めたところでは、アベノミクスによって始まった経済の拡大周期は18年10月に終了した。この経済回復周期は71ヶ月間続き、第二次世界大戦後で2番目に長い回復周期となった。

回復周期は長かったが、アベノミクスの下での超緩和政策によって日本がデフレから抜け出し、2%のインフレ目標を達成することはなかったし、日本の実体経済の発展が目に見えて促進されることもなかった。日本メディア、経済学者、一般国民にとってみれば、長年にわたり1%前後にとどまる経済成長率では信頼感を抱くことは難しく、経済回復と言っても実感に乏しかった。

感染症が発生すると、安倍政権は打撃を緩和するため、過去最大規模の経済活性化プランを打ち出した。緊急事態宣言が全面的に解除されると、経済活性化プランの効果が徐々に顕在化し、日本経済はさしあたり底を打って回復に転じた。しかし多くの専門家は、「日本国内の需要も海外の需要もどちらも低迷しているため、日本経済は回復の原動力を欠いており、回復プロセスは非常にゆっくりしたものになる」との見方を示した。

最新のデータでは、今年第2四半期の日本経済成長率は前期比7.8%低下し、年率換算では27.8%の低下となり、比較可能なデータがある時期の中で最大の低下幅になった。データをみると、日本の個人消費は依然として低迷が続き、鉱工業生産の回復の勢いは弱く、輸出が全面的に回復するにはまだかなり時間がかかるとみられる。

野村総合研究所の木内登英研究員は、「日本経済は第2四半期に記録的な低下となり、そのうち約6割が個人消費の大幅減少によるものだ。雇用と収入の環境が悪化するにつれ、これから各種の消費がどれも持続的に抑制され、自動車をはじめとする耐久消費財の需要が先延ばしになり、外食や娯楽などのサービス業が引き続き厳しい情勢に直面することが予想される。こうした要因はすべて第3四半期(7-9月)とそれ以降の経済回復を大きく制約することになり、日本経済がV字回復を実現する可能性はほぼない」と分析した。

厳しい経済情勢の下、「戦いを前にして司令官が交代する」ことで日本経済に新たな不確実性がもたらされることは間違いない。まず、次の指導者が安倍路線を継承するかどうかが読めないからだ。また、今では力強さを失ったアベノミクスが次の指導者に未解決の課題をたくさん残したからだ。

感染症が経済低迷をもたらしただけでなく、人口減少がもたらした市場の縮小、人手不足、社会保障の圧力といった各種の経済社会問題も日本経済を深く苦しめており、今後も長期的に足を引っ張るとみられる。またさまざまな構造的な経済問題が次のリーダーに厳しい試練をもたらすことが予想される。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年8月31日

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