日本の安倍晋三首相は28日午後、東京の首相官邸で記者会見を開き、辞任を表明し、その理由を持病の潰瘍性大腸炎が再発したためと説明した。この病気について、首都医科大学付属北京友誼医院消化器センターの代表医師の宗曄氏に話を聞いた。宗氏によると、「潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症者や再発を繰り返す患者は、生涯にわたり治療を続ける必要がある。こうしたことから専門家の間では『やさしいがん』などと呼ばれている」という。「北京日報」が伝えた。
宗氏は、「軽症者の主な臨床症状は軽度の腹痛と下痢で、便に粘液や膿がまざり、1日の排便の回数は4回以下。重症者は腹痛と下痢の症状が進行し、1日の排便の回数が6回以上になることが多く、頻繁に血便が出ると同時に、腹痛や発熱などの症状も伴うようになる」と説明した。
宗氏は続けて、「原因はよくわかっておらず、青少年で発病する人が多いが、高齢者にも発病の小さなピークがある」と述べた。
治療方法は寛解導入療法と寛解維持療法に分けられる。寛解導入療法は薬物を使って急性期の症状をコントロールするものだが、コントロールしても治療に終わりはなく、患者は長期にわたり薬物を服用して寛解を維持しなければならない。一般的に初発のケースで、薬物を3年から5年服用して寛解を維持する。重症者や再発を繰り返すケースでは、長期にわたる治療に一生付き合っていく必要がある。よって専門家の中にはこの病気を「やさしいがん」などと呼ぶ人もいる。がんほど恐くはないが、長い治療プロセスが必要だからだ。
報道でみると、安倍氏は潰瘍性大腸炎の再発と診断されたという。これについて宗氏は、「この病気は再発しやすい。不適切な飲食、不安感、腸の感染症はすべて再発を引き起こす可能性がある。そこで治療を続けることが重要になる。病変は結腸に広がり、炎症が生じる範囲により直腸型、左側結腸炎型、全大腸炎型などに分類され、全大腸炎型は発がん率が高い。全大腸炎型で再発を繰り返し、発症から10年以上経過しているケースについては、結腸がんのリスクも高くなる」と説明した。
また宗氏は、「この病気は西洋諸国で比較的よくみられる。中国では増加傾向にはあるが、よくある病気ではない。」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年8月29日