伴走者と走る厳偉さん(写真中央)。
上海大寧公園で今月18日に開催されたイベント「100キロウルトラマラソンを完走する中国初の全盲ランナーにチャレンジ」に山東省から参加した視覚障碍者の厳偉さんが、9時間40分のタイムで見事完走した。同イベントではボランティア15人が厳さんをサポートした。北京青年報が報じた。
100キロウルトラマラソン完走した中国初の視覚障碍者に
同日午後6時22分、厳さんのマラソンアプリは100.9キロを計測。厳さんは人生初の100キロマラソン完走に成功した。中国で100キロマラソンを完走した視覚障碍者は厳さんが初めてとなる。
厳さんは子供の頃から走るのが大好きで、これまでに何度もマラソン大会に参加してきた。普段もトレーニングを続けており、1ヶ月に500‐600キロ走っている。
中国全土で展開されている視覚障碍者向けの伴走サービスを提供するボランティアプロジェクトの「Running in the Dark」の共同創始者の一人・程益さんによると、18日のイベントには厳さんを含めて十数人の視覚障碍者が参加。他のランナーと同様、3人の伴走者が厳さんと走った。そのうち湖南省長沙から来た公雲峰さんと重慶市から来た盧為さんは、厳さんの伴走者を長期にわたって務めているボランティアだ。伴走する際、一人が方向を伝え、もう一人が補給や水を渡したり、保護サポートを担う。そして、「コースには100メートルごとにボランティアが立っているほか、医療ボランティアも随時サポートできるよう準備している」という。
「Running in the Dark」の共同創始者の一人・蔡史印さんは、「厳さんが100キロマラソンを完走できたのは予想していた通りだったが、これほど順調に達成できるとは予想していなかった」とし、厳さんの意志の強さに感服。「今回は全部でボランティア15人が厳さんの今回のウルトラマラソン完走をサポートした」という。
伴走者と走る厳偉さん(写真左)。
視覚障碍者と伴走するために立ち上げられた黒暗■団
「Running in the Dark」を立ち上げた目的について、程さんは、「視覚障碍者との交流を通して、運動したいと思っているのに、普段はする機会がないという人が多いことに気付いた。2016年から、視覚障碍者が参加できるマラソン大会が少しずつ出てきた。それで、同年4月に杭州で「Running in the Dark」を立ち上げ、マラソン大会に参加する視覚障碍者の伴走者を専門に手配するようになった」と説明する。
程さんによると、視覚障碍者は、ボランティアと一緒に歩くか、走るかを選ぶことができる。参加できる種目は5キロ、10キロから、ハーフマラソン、フルマラソンへと少しずつ難度を増してきた。
「Running in the Dark」はこれまでに、30都市以上で、500回以上のイベントを企画し、視覚障碍者延べ5000人以上が参加してきた。イベントの総参加者数は2万人以上となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年10月20日