新型コロナウイルス感染症の影響により、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)と国際オリンピック委員会(IOC)は3月に五輪開催を1年延期することを決定した。現在、国際オリンピック委員会(IOC)、日本政府、組織委員会が延期された五輪の通常開催に向けて全力で取り組んでいるものの、延期に伴って増加した費用負担が三者の直面する新たな難問になっている。この難問をどのように解決するか、多方面の知恵が試されている。「経済日報」が伝えた。
開催が1年延期になったということは、組織委で働くスタッフ2千人あまりの任期が延びたということだけでなく、借りているオフィスビルの賃貸期間も延長しなければならず、すでに完成した競技場や選手村などのインフラは管理費用がさらに1年分必要になり、プレスセンターや各会場の中継設備もレンタル期間が1年延びた。こうした延期で生じた費用は3千億円を超えると予想される。これに感染症が短期間で完全に終息するのは困難であること、インバウンド客の減少、開催されても観客はソーシャルディスタンスへの配慮からかなり少なくなるとみられることなどが加わり、こうした損失をどうやって穴埋めするかが東京都と日本政府の直面する難問になっている。
日本政府はこうした問題を解決するため、さまざまな「節約」を試みてきた。東京五輪・パラ五輪の経費は元々1兆3500億円と算出されていた。当初の合意では、組織委が6030億円、東京都が5970億円、日本政府が1500億円を負担することになっていた。延期が決まると、負担軽減のため、組織委とIOCは6月に競技以外の式典などを簡素化し、経費を削減するとした。52項目の見直しを行い、各国代表団の国旗掲揚式などの式典の取りやめ、スタッフの雇用期間の短縮、招待者の規模の縮小、会場に一時的に設置する観客席の縮小などを決めた。それで300億円の経費が削減される見込みだ。ただこうした対策は五輪開催に必要な経費全体からみると、焼け石に水の感は否めない。
日本政府、東京都、IOCの合意に基づき、東京五輪の経費は東京都が負担し、東京都が負担できない部分は日本政府が最終的に負担するとしていた。しかし感染症の中、東京都の財政は逼迫し、底をつきそうな状況だ。20年3月末現在、東京都の財政の残高は9032億円だった。感染症で緊急事態宣言が出されると、東京都は休業要請に応じた企業に協力金を出し、病院と学校のネット環境整備にも資金を投入するなどして、財政支出が急増した。今年度末の財政の残高は1700億円にとどまると予想される。さらに経済の低迷で今年度の財政収入はサブプライム危機以降の最低を更新する見込みで、組織委が計上していたスポンサー企業からの協賛金も満額の拠出は難しいとみられる。また感染症対策として各会場で検温、消毒、隔離、医療などの施設を増やす必要があり、その収支の変更が組織委に非常に大きな難問を突きつけることになった。5月にIOCのバッハ会長は大会運営費として6億5千万ドル(約685億円)を負担すると発表したが、経費の問題を根本的に解決できるわけではない。現在、東京都と日本政府は難しい話し合いを続けている。難問をどのように解決するか、しばらく状況を見守る必要がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月15日