女性芸能人の仕事奪われる? コスメの広告塔に男性芸能人起用でバカ売れ

人民網日本語版 2020年12月24日10:28

中国では現在、コスメの広告塔に男性の人気芸能人が起用されるケースが増えている。しかし、それには先例があり、1996年に、日本のアイドル・木村拓哉が口紅のCMに抜擢され、その口紅は爆発的な売れ行きとなった。日本で口紅のCMに男性芸能人が起用されたのは木村拓哉が初めてのことだった。北京青年報が報じた。

微博(ウェイボー)で「コスメの広告塔」と検索すると、最も人気があるのは、ほとんどが男性芸能人だった。例えば、フランスのファッションブランド・ジバンシィの広告塔・蔡徐坤(ツァイ シュークン)、フランスの化粧品会社・ロレアルパリの広告塔・王源(ワン・ユエン)、ファッションブランド・アルマーニの広告塔・易■千璽 (■は火へんに羊、イー・ヤンチェンシー)などだ。

今年、「微博総芸」が実施した、「コスメの広告塔として男性芸能人を起用することをどう思うか?」というアンケート調査では、回答者約9000人のうち、5000人以上が、「商品とマッチしていれば、男女どちらでも良い」、3000人以上が、「男性芸能人を起用したほうが、女性の購買意欲をそそるので、とてもいい」と答え、「受け入れられない。女性芸能人のほうが商品の効果をPRできると思う」と回答したのは1000人未満だった。

注目度の高い芸能人とそのファンの購買力に目を付けるブランド

各ブランドがコスメの広告塔に男性芸能人を選んでいる主な原因は、その注目度やファン経済に目を付けているからだ。

2018年は「アイドル元年」と呼ばれ、各種人気オーディション番組で、「アイドル」、「注目度の高いアイドル」、「ママ目線のファン」、「リアコ」などの言葉が人々の目に留まるようになった。同年、18のコスメブランドが広告塔に男性芸能人を起用した。翌19年には、24のコスメブランドが男性芸能人を広告塔、またはイメージキャラクターとして起用した。

コスメの広告塔に男性芸能人を起用するブランドが目を付けているのはその背後にある巨大なファン市場だ。あるコスメブランドの広報関係者は取材に対して、「近年、オーディション番組やアイドル文化が台頭しているのに伴い、各ブランドは男性を広告塔に起用すると、その商品がよく売れるようになることに少しずつ気付くようになった」と説明した。

ビッグデータを解析して市場の変化を観察する「時趣」が発表した「2018コスメ業界洞察報告」によると、現在、コスメやスキンケア商品に注目するグループはどんどん若年化している。うち、90後(1990年代生まれ)、00後(00年以降生まれ)がコスメ商品の主なターゲット層になっている。ビッグデータを解析すると、好きなアイドルが広告塔に起用されている商品を、喜んで購入するファンの割合は40‐50%に上っている。また、1000万人以上のフォロワーを抱える超人気アイドルとなると、その割合は60‐70%にまで上昇する。

2018年のネットドラマ「鎮魂 (guardian)」がきっかけで大ブレイクした俳優・朱一龍(チュー・イーロン)は、同年に化粧品ブランド・ニベアの広告塔に起用され、商品が2日で完売、関連のギフトセットも発売されるとわずか4秒で完売となった。今年1月8日、フォロワー8000万人を抱える易■千璽が、アルマーニのコスメ商品の広告塔になったことを発表すると、アルマーニの人気・注目度が急上昇した。その発表の投稿を引用した再投稿は100万件以上になり、ブランドの注目度ランキングの順位にかぎっては、2019年第4四半期の10位から、2020年第1四半期には一気に首位にまで駆け上がった。今年8月、アルマーニは、易■千璽をグローバル広告塔に抜擢したことを発表した。

このように大きな利益をもたらしてくれるほか、注目度の高い男性芸能人を起用すると、コスメブランドの評価も上がる。情報誌「北京青年週刊」のコスメ版担当記者・蘇悦怡さんは、「中国の一流芸能人、または超一流芸能人の数には限りがある。自社の分野でトップ10位内に入る優位性を持つようになりたいと考えるブランドにとって、一流芸能人を起用できるというのも、実力の証明になる」との見方を示す。

「コスメの広告塔に男性芸能人を起用する流れは今後も続くか?」という質問に、回答者の多くは、「アイドル人気が続き、その商業価値、ファンの支持がある限り、その流れは続くだろう」と声をそろえた。一方、コスメ業界の関係者は、「今後は、単に男性芸能人か女性芸能人かを見るだけでなく、ビッグデータ解析により、消費グループに最もリーチできる芸能人と見なされた芸能人が広告塔に起用されることになるだろう」との見方を示す。また、消費グループが女性に限られることがなくなれば、「男性芸能人起用」の流れも状況に応じて変化することになるかもしれない。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年12月23日

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