「中国天眼」のブレインを訪ねて、観測時間の10%を世界に開放へ

人民網日本語版 2021年02月08日15:05

貴州省平塘県の500メートル口径球面電波望遠鏡(FAST)は、世界で現在最大口径の電波望遠鏡で、「中国天眼」と呼ばれている。中国天眼測量・制御エンジニアの孫純氏は6日の取材に、「中国天眼総合コントロール室は望遠鏡のブレインであるが、望遠鏡はどのように動き、どこを向けばいいか。これはすべて総合コントロール室で行われている。総合コントロール室はコントロール、計量、科学記録などのモジュールに分かれている。モジュール間の相互連携により、望遠鏡は観測する天体の方を正確に向き、正確に信号を受信できる」と述べた。中国新聞網が伝えた。

中国天眼科学委員会と時間配分委員会の検討を経て、中国天眼は今年4月より正式に世界の科学界に向け開放される。関係責任者は取材に、「今回の開放は漸次的に進められる。4月には観測時間の10%を世界の同業者に開放する。プロジェクト評価・審査の得点に基づき、この10%の時間を配分する。競争は激しくなる見通しだ」と述べた。

観測時間の配分を担当する孫氏は取材に、「中国天眼の観測計画チームが世界の科学者の観測時間を統一的に配分する。世界の科学者が申請をした後、専門的な委員会が評価を行い格付けを行ってから各プロジェクトの観測時間を配分する。最終的に私たちがプロジェクトの観測時間を確定する」と述べた。間もなく始まる国際協力は、中国天眼総合コントロール室の重点活動の一つだ。「歯車」になる志を立てた黄夢林氏は海外のユーザーとの交流に役立てようと英語能力の向上を考えている。

中国天眼データセンターの運営・メンテナンスエンジニアの黄氏は「私の仕事は、FASTが毎日受信する大量の情報を保存するとともに、科学者に提供することだ。彼らが一日も早く、多く成果を出すことを願う」と述べた。

テスト、試験運営、正式な開放運営後の6000時間近くの観測サービスの蓄積を経て、中国天眼は現在安定的に高い信頼性で運営している。その感度は世界の電波望遠鏡の首位をキープしており、効果的に探査できる空間範囲の体積はこれまで最先端だった電波望遠鏡を遥かに上回っている。

中国天眼は事前研究から完成まで26年の時間をかけた。百人近くの科学研究者が前後してこのプロジェクトに加わった。中国天眼は現在までパルサーを300個以上発見している。天眼のデータに基づき発表された論文は40本以上で、うち高速電波バースト関連の研究成果はネイチャー誌の昨年の10大科学発見に選ばれた。

一連の中国のイノベーション、中国の知恵によってこの成果が得られた。重さ30トンにも上る中国天眼フィードキャビンは、最も輝かしい「掌中の玉」だ。この6本のワイヤーケーブルでけん引されるプラットフォームの重さは30トンで、望遠鏡の反射板が受信する宇宙からの信号の収集を担当する。

「私が行っているのはフィードキャビンの正確な測位で、反射板の焦点の位置に正確に移動し、反射板が集める電磁波を正確にキャッチできるようにする作業だ」。中国天眼測量技師の宋本寧氏が担当するのは、フィードキャビンと反射板の測量作業だ。「米アレシボ天文台の崩壊は一つの警鐘だ。いかに望遠鏡の世界一をキープし、天文分野で天文学者に多くの観測時間を継続的に提供するかは、天眼運営・メンテナンスチームのチャレンジだ」と宋氏。

宋氏は「私たちは新たな方法を模索し、望遠鏡が正常、安全、効果的、持続的に運営できるようにする。まず望遠鏡の正常な運営を保証し、そして時代の発展の需要に合わせ技術を更新する。望遠鏡が終始、世界トップ水準を保てるようにする」と述べた。

外部の人からは神秘的に見える中国天眼の運営チームは平均年齢が30代と若く、非番の日には豊富な余暇生活が待っている。運動を好む宋氏はよく仲間とサッカーの試合を行う。全国各地から来た仲間が黄氏と故郷の話や料理を共有する。専門家や学者が交流に訪れると、孫氏はブレーンストーミングを感じる。

中国の春節(旧正月、今年は2月12日)が近づく中、中国天眼の運営・メンテナンスチームは、中国天眼が新年により多くの成果を上げ、より多くの志のある若者が中国天眼の事業に加わることを願っている。(編集YF)

「人民網日本語版」2021年2月8日

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