中国、2020年の「全国姓名報告」が発表 「姓」の起源は母系制社会

人民網日本語版 2021年02月09日16:15

中国公安部戸政管理研究センターは近年、公安ビッグデータ戦略配置を徹底的に実行し、世界で最大規模の人口情報管理システムを構築し、戸籍人口14億人のオールライフサイクル、オール移動範囲の情報化サービス管理を実現している。2018年以来、同センターは、中国全土の人口情報管理システムを通して、中国全土の戸籍人口(香港地区、澳門<マカオ>地区、台湾地区は含まない)の姓氏(苗字)、名前、新生児の氏名に使われている漢字などの状況をまとめ、分析している。

姓氏の状況

中国は、世界で最も古くから「姓氏」を使い始めた国で、すでに5000年以上の歴史を誇る。「中国姓氏大辞典」に収録されている古代から現代に至るまで各民族が使用してきた漢字表記の姓氏の数は約2万4000種。それら姓氏は発展と変遷の過程で、消失した姓氏もある一方で、何世代もずっと受け継がれてきた姓氏もある。現在も使われている姓氏は約6000種だ。

●2020年姓氏ランキングトップ100

戸籍人口の姓氏ランキングトップ100は、2020年と2019年ではほとんど変わりはなく、トップ5は依然として「王」、「李」、「張」、「劉」、「陳」。それらの姓氏の人だけで、中国全土の戸籍人口の30.8%を占める。

2020年12月31日の時点で、同年に生まれ、既に公安機関で戸籍を登録した新生児は1003万5000人、うち男児が529万人で52.7%を占め、女児は474万5000人で47.3%を占める。2020年の姓氏ランキングトップ100のうち、新生児登録数が最も多かったのは「李」で72万6000人、最も少なかったのは「顧」で1万7000人だった。

名前の状況

どの名前にも、独特の意味が込められているものだ。例えば、両親の期待が込められている名前、ポップカルチャーを反映した名前、鮮明な時代の刻印が押された名前などがある。

●各時代の人気の名前トップ10

新中国が成立した1949年当時、この重大な意義を帯びる歴史的瞬間を記念するために、多くの人が男の子に「建国」や「建華」という名前を、女の子に「英」や「蘭」などの名前を付けた。1960‐70年代になっても、「軍」や「勇」、「英」、「麗」といった字を使った名前が多く、新中国が成立された当時の時代がまだ引き続いていたことを示している。

80年代になると、「偉」、「磊」、「静」、「麗」などの字を使った名前が増え、人々がシンプル、平穏、簡素な生活を一心に追求していたことを反映している。90年代になると、上品な文化の要素が名前に反映されるようになり、「傑」や「浩」、「婷」、「雪」といった字を使った名前が増えた。そして、21世紀に入ると、「涛」や「浩宇」、「浩然」、「婷」、「欣怡」、「梓涵」など、文芸ムード漂う名前が人気になった。

●氏名の文字数の変化

中国では現在、一部の少数民族を除くと、ほとんどの人の氏名が2文字(姓氏1文字、名前1文字)、3文字(姓氏1文字、名前2文字、または姓氏2文字、名前1文字)、4文字(姓氏2文字、名前2文字)で、4文字を超える氏名はほとんどない。それぞれの割合を見ると、3文字が90%以上になっている一方で、2文字が6.3%まで減少している。4文字と5文字以上は少ないものの、増加の一途をたどっており、50年代の0.3%と0.4%から現在では1.6%と1.7%に増えている。

姓名にまつわる豆知識

古代、「姓」と「氏」は元々、異なる概念だった。「姓」の起源は母系制の原始社会の時代にまで遡ることができる。当時は、母方の血筋によって家族や血縁集団が組織されていたため、「姓」という漢字は「女」へんに「生」と書く。そして、最も古い起源を持つ8つの姓である「姫」、「姜」、「姒」、「嬴」、「妘」、「媯」、「姚」、「姞」にはいずれも「女」が入っており、古代は子供が母方の姓を名乗っていたことが分かる。一方、「氏」は父系制の氏族社会に生まれ、氏族の規模が日に日に拡大するにつれて、管理の便宜を図るために、一部の人口を分割し、「姓」を基礎にした「支脈」が「氏」と呼ばれるようになった。漢の時代になると、「姓」と「氏」を一つにして、子供は父方の姓氏を名乗るスタイルが代々受け継がれるようになった。

古代、名前を意味する「名字」の、「名」と「字」にも異なる概念があった。通常、まず「名」があり、その後「字」が続き、「号」がある人もいた。中国の伝統的な習慣では、「名」は、子供が生まれてから100日目以降につける。一方、「字」は目上の者の諱を用いることを忌避し、目上の者を尊重するという論理から生まれた。多くの昔の人には「号」もあった。本人が選んでつけた「号」もあれば、他の人が選んでつけた「号」もあった。例えば、中国北宋の詩人・蘇軾の号は「東坡居士」、唐の時代の詩人・李白の号は「青蓮居士」、または「謫仙人」だった。

清の時代の末期以降、特に新文化運動が起こって以降、複雑な「姓名字号」は封建文化の象徴と見られ、少しずつ歴史の舞台から消えていった。しかし、古代の人の姓名には、文化、歴史、典例、故実、伝統文化の知識が含まれており、現代の人々が名前を付ける際、参考にする価値が大いにある。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年2月9日

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