「路上ライブ」する視覚障碍者の父親の隣で一心に勉強する少年の姿

人民網日本語版 2021年03月29日16:54

たくさんの人が行き来する街中の道端に腰掛け宿題をしている少年の横で、視覚障碍者の父親が大きなスピーカーを置き、歌を歌って収入を得ている様子を捉えた画像が、中国のネット上で話題となり、ネットユーザーらを感動させている。広西壮(チワン)族自治区柳州市の街中では、この光景がもう7年にもわたって続いてる。中国新聞社が報じた。

歌う父親の隣で一心に勉強する少年

週末になると、柳州市の飛鵝立体交差橋の下には、韋慶逍君(13)と父親の韋利念さん(37)が姿を現す。3月21日、慶逍君はいつも通り、大きなスピーカーの準備を整えてから、教科書やノートを取り出し、道端に座った。

隣で利念さんが歌を歌っているにもかかわらず、慶逍君は真剣な表情で勉強していた。

人通りが多く、利念さんの歌声は小さくないが、慶逍君の勉強に対する集中力にはまるで影響を与えていないようだ。通りかかった人が、鉄のボックスにお金を入れてくれた時だけ、勉強の手を止めて、頭を下げて感謝していた。父親の「路上ライブ」に付き添っている間に、慶逍君は英語の宿題を終わらせ、「こういう生活にはもう慣れた。どこで勉強しても同じ」と話した。

投げ銭する男の子。

父親の「目」となり、歌を歌いに行く父親をサポート

慶逍君は物心がついた頃から、父親は目が見えないことを知っており、「お母さんから、お父さんを助けてあげてといつも言われている」と話す。

「マッサージや歌、作曲を勉強したことがある。広東省に行って働いた後、柳州に移って来た」と話す利念さんは、3歳の時に、ある病気が原因で両目の視力を失った。

慶逍君の一家が現在住んでいる40平方メートルの借家には、マッサージベッドが2つと勉強机が1つ並んでいる。そこは、利念さんの「マッサージ店」であり、一家の住居でもある。ただ、場所が悪く、部屋の内装も粗末であるため、マッサージに来る人は1ヶ月に数人だけで、それによる収入はほとんどない。そのため、妻がアルバイトで稼ぐ収入で何とか暮らしを立てているのが現状だ。

慶逍君は6歳の時から、利念さんの「目」となり、街中に出かけ、利念さんが歌を歌って収入を得ることができるようサポートしてきた。慶逍君の母親は、「初めは、私も付いて行っていた。でも、何回か行くと慣れたので、2人で行ってもらうようになった」と振り返る。

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