広東省や山東省などの地域で最近、新型コロナウイルスの変異株の発見が相次いで報告されている。世界保健機関(WHO)は、将来さらに多くの変異が生じると予測している。もし新型コロナウイルスの変異が加速すれば、中国製のワクチンにどれほどの影響が生じるだろうか。効果が落ちることはあるだろうか。新華社が伝えた。
国務院共同対策メカニズム科学研究開発チームワクチン研究開発専門班専門家チーム副チーム長で、中国工程院院士の王軍志氏は「我々は今までのところ、新型コロナウイルスの変異株が、中国で条件付きで流通している新型コロナウイルスワクチンの効果に明らかな影響を及ぼすことを確認していない。しかしウイルスの長期的な感染拡大により多くの突然変異が蓄積され、蓄積が一定程度に達すればワクチンの保護効果に影響が生じるリスクがある。このリスクは存在する」とした。
中国の複数のワクチン生産企業と研究開発チームが現在、変異株の研究開発を展開している。
国薬集団中国生物の張雲濤副総裁は、28日の国務院共同対策メカニズム記者会見で「国薬集団中国生物の2種類の不活化ワクチンは、国内と海外の第2・3相臨床試験後の血清を利用し、南アフリカと英国で見つかったウイルス株、国内の異なる地域や異なる流行エリアで見つかった10種以上のウイルス株の総合的なクロスオーバー試験を行った。その結果、2種類の不活化ワクチンが生む中和抗体は、これらのウイルス株に対して高い中和作用を持つことが分かった。現在ブラジルとジンバブエで見つかっているウイルス株については中和試験モニタリングを行っている最中で、引き続き変異株ワクチンの研究開発を推進する」と述べた。
北京科興中維生物技術有限公司の尹衛東会長は「リスクを未然に防ぐため、当社は現在すでに変異株のワクチン研究を開始している。将来的にウイルスの変異のペースが一定程度に達した場合、既存のワクチンを踏まえた上で変異株の抗原組成を一つ増やし、2価ワクチンにする可能性がある。また現在のワクチンを2回注射した後、さらに変異株を対象とする強化ワクチンを1回接種する可能性がある。中国の新型コロナワクチンの研究開発の審査・批准フローは過去1年でほぼスムーズに整理されている。従来と比べると変異株の研究開発期間がより短縮され、より効率が上がるはずだ」と述べた。
中国軍事科学院軍事医学研究院の陳薇院士のチームは、アデノウイルスベクターワクチンが条件付きで流通された後、ワクチンの安全性のフィードバックの追跡を続けており、ワクチンの新たな変異株に対する有効性についても追跡している。「我々は変異株のデータを分析中で、これが既存のワクチンに対して交差反応性を持つかどうかについての検証試験を行う。そして、すでに変異株のワクチン研究開発もとうに開始している。このワクチンを使うとは限らないが、いざ使おうとする時に備えがないよりは、備えがあっても使う必要がないほうがいい」と陳薇氏。
中国疾病予防管理センター研究員で、WHOワクチン研究開発委員会顧問の邵一鳴氏ら業界内の専門家は再び、「世界の新型コロナの主な流行地域のウイルス変異は現在、制御可能な範囲を超えていない。そのため世界各国は早急にワクチンの大規模接種を行い、より強い集団免疫の壁を構築するべきだ。こうすることでウイルス変異のペースを落とし、感染拡大を早急に抑制できる」と上述のように注意し呼びかけている。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月29日