中国科学技術大学によると、同大の畢国強教授と劉北明教授は国内外の学者と協力し、独自に開発した高スループット3次元蛍光イメージングVISoR技術と霊長類脳地図作成フローにより、アカゲザルの脳のミクロン級分解能の3次元解析を実現した。関連成果は26日、「ネイチャーバイオテクノロジー」に掲載された。科技日報が伝えた。
脳の機能は、1千億個近くの神経細胞及び細胞間の細く複雑な接続によって実現される。脳の活動メカニズムの理解を深めるためには、脳の3次元・高画質の地図を作成する必要がある。現在世界で普及しているイメージング技術を使い、マウスのミクロン級分解能の脳全体のイメージングを行うには通常数日かかる。一方、アカゲザルの脳のサイズはマウスの脳の200倍以上で、短時間内に脳全体のイメージングを行うのは極めて大きなチャレンジとなる。
このチャレンジに対処するため、同チームは数年の研究を経て、VISoR高速3次元蛍光イメージング技術を開発した。同技術は現在、世界最速の大スケール3次元組織イメージング方法で、各種モデル動物の脳の高スループット・高精度の定量分析を行うことができ、その他の組織・器官に拡張することも可能だ。
アカゲザルの高分解能の脳全体のイメージングにはさらに、脳回の構造が複雑で、組織の透明度が低いといったさまざまな困難に直面する。同チームはまず取り出された脳の包埋・薄片化を採用した。これにより溶液の浸透効率が薄片の厚さのみに左右され、その大きさの影響を受けないようにした。さらに高屈折率の組織透明化方法を発展させ、脳薄片の白質と灰白質の異なる部分、異なる深度を均一かつ透明にした。それから改良された高速3次元蛍光イメージングシステムにより、100時間内にアカゲザルの脳全体のサンプルの1×1×2.5ミクロン3次元分解能の画像採集を行った。アカゲザル2匹の脳の画像の生データ量は1PBを超えた。
業界内の専門家によると、アカゲザルは人類の脳の健康と疾患を理解する最良の模型システムを提供している。その脳全体のレベルでニューロン長距離連結を作成することは驚異的な技術の進歩であり、脳の形態の発生と連結方法を理解する上で深い意義を持つという。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年7月27日