中国のSNSで最近、「空から雷を誘導する」という動画が話題となっている。中国科学院の微博(ウェイボー)公式アカウント「中科院之声」が13日に投稿した動画を見ると、紫色の稲妻が空を破り、真っ直ぐ地上に落ちる迫力満点のシーンだった。科学者はなぜ空から雷を誘導するのだろうか、試験にはどのような目的があるのだろうか。環球時報が伝えた。
動画によると、12日の未明から昼にかけて、山東省浜州市の上空で強い対流活動が2回発生した。中国科学院大気物理研究所の野外作業員が何度もロケットを打ち上げ、人工的に誘雷した。人工的に誘雷するとは落雷発生中の環境において一定の装置と施設を利用し、指定された地点で人工的に雷を触発し、雷を予定の位置に誘導して科学試験を行うことだ。
動画の雷はなぜ真っ直ぐ地面に落ちたのだろうか。人工的な誘雷は、急上昇し金属線を曳行する小型ロケットによるものだった。人工的に雷を触発した後、雲の中の電荷が真っ直ぐ伸びた導線に沿って直接地面に伝わるからだった。
自然の雷には高電圧、大電流、強い電磁放射、スパンが長いといった特徴があり、シミュレーションが困難だ。同時にランダムに発生するため、近距離の総合観測が難しい。特にその電流を直接得るのは困難だ。人工的な雷の触発は、自然の雷を元の状態に比較的近くシミュレーションする唯一の手段だ。その発生位置の特定、発生時間の予測により、電流や電磁場などの重要な特徴パラメータを直接取得できる。それによって生じる強い電磁環境は自然の雷の影響と変わらないために、人工的な雷の触発により、落雷の過程及びそのメカニズムの研究、新型雷探査技術の研究開発及び試験、雷防護技術の試験など、多くの科学試験を展開できる。
多くのネットユーザーはさらに、雷のエネルギーが「もったいない」と感じている。しかし専門家によると、1回の落雷で放出されるエネルギーは想像されるほど大きくない。通常は1回の落雷で100Wの電球5個を1カ月点けられる程度だが、これらのエネルギーは非常に短い時間内に放出されるため、瞬間的な出力が高い。落雷発生の時間と場所が非常にランダムで、特定の場所での発生は限定的だ。現時点では雷のエネルギーを集めるのに適した手段が欠けており、そのため効果的な蓄積と利用が困難だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年7月16日