8月は本来なら中国観光業界にとって夏休みの「ゴールデンシーズン」だった。しかし今年は自然災害がたびたび発生し、新型コロナウイルス感染症の状況が突然深刻になるなどの影響により、夏休み旅行は「火力が全開」になる前に、突然パタリとストップしてしまった。中国新聞網が伝えた。
例年であれば、8月初旬は休みで出かける人が多く、親子旅行、卒業旅行、個人自由旅行などさまざまなニーズが放出される。しかし山東国信国際旅行社は最近、顧客が8月中旬に予定していた省外への旅行のキャンセル処理に追われている。ホテルや観光地の入場券、航空券も、すべてキャンセルされている。同社の李聖娥社長は、「感染症対策が厳格になり、各地で不要な省外・市外への移動をしないよう呼びかけていることから、省外への旅行に『一時停止ボタン』が押され、省内旅行も低迷状態に陥り、2ヶ月続くはずだった夏の繁忙期がたった半月で終わってしまった」と嘆いた。
李氏によると、「従来の夏の旅行シーズンが早く終わってしまい、今年下半期の営業収益、さらには通年の営業収益が打撃を受けるだろう。当社の社員は今は出勤してキャンセル処理をしているが、今後はこのタイミングを利用して業務研修を行い、防疫の経験を総括して、漏れやスキがないようにする」という。
中国観光改革発展諮詢委員会の孫小栄委員は、「現在、各地で省外への旅行がストップしている。これは遠距離の宿泊を伴う旅行を生み出す中・高級消費市場が基本的に『一時停止ボタン』を押されたことを意味する。もしも感染症対策が主に省外への長距離旅行に影響すると言うなら、今年の夏の異常な雨続きの天候は、短距離旅行市場にマイナス影響を与えたと言える。人々は感染症と自然災害に警戒心を抱き、2つの要因が相まって、旅行に行ったり出かけたりするチャンスも意欲も大幅に減退した」と述べた。
また孫氏は、「旅行業界従事者はまず防疫という大きな局面に対してサービスを提供するべきで、気持ちを引き締めて難局を乗り切らなくてはならない。高密度の人の流れを追求するべきではなく、低密度の近場旅行、カジュアルなレジャーレジャー、ちょっとしたリゾートなどに転換するべきで、クリエイティブ商品や特色ある商品などをオンライン販売に移行させるべきだ。ここ2年ほど、旅行業界は人材の流出が深刻で、市場が回復したときにサービスが追いつかなくなるのが目に見えている。将来を見据えて、商品とサービスのレベルアップを図り、あらゆる手を使って人材を引き留めるべきだ」と述べた。
山東大学文化産業研究院の王徳剛院長は、「2020年の1年にわたる戦『疫』を経て、旅行業界は感染症のリバウンドに対応する経験を積み重ねてきた。夏休み旅行が通常通りに展開できない状況の中で、空いた時間を利用してこれまでの経営プロセスに存在していた問題を振り返ったり解決したりするとよい。常態化した感染症対策はこれからしばらくの間の重点作業になり、旅行業界従事者はこのような常態化の下で、対策の基準が低下しないようにし、専門的サービスのレベルを系統的かつ計画的に引き上げ、質の高い旅行商品を開発し、感染症の状況が好転したら、満を持して『再出発』すればよい」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年8月9日