アジアの不動産テック企業・居外IQI(Juwai IQI)集団が5日に発表した報告書によると、世界的な新型コロナウイルス感染症、経済の下ぶれ、地政学的な緊張状態、旅行の制限などの背景の中、この1年あまりの間に、世界の主要22都市のうち8割以上で不動産価格が上昇したという。中国新聞社が伝えた。
この報告書では、世界22都市の2020年第1四半期(1-3月)の不動産価格データと21年同期の同データ(一部地域は更新データを採用)を比較している。
その結果を見ると、主要22都市のうち、カナダ・モントリオールは感染症の中でも不動産価格が39%上昇して、22都市の中で1位だった。米国・ロサンゼルスとニュージーランド・オークランドの上昇幅がこれに続き、ロスは35%、オークランドは32%だった。カナダはトロントの上昇幅も30%を超えた。
英国・マンチェスター、カナダ・バンクーバー、中国・深セン、オーストラリア・シドニーの上昇幅も10%を超え、特にマンチェスターは19.4%に達した。
同報告書は、「過去1年あまりの間に、22都市のうち、価格が低下したのはロンドン、バンコク、プーケット、東京の4都市だけだ。東京の低下幅が最大で、新築マンション価格が1年間あまりで7.4%値下がりした。
世界保健機関(WHO)がまとめた最新のデータでは、現時点で世界の新型コロナウイルス感染症による死者は424万人に上る。国際労働機関(ILO)のモニタリングでは、20年だけで世界の労働時間の8.8%が失われ、これは2億5500万人分の正規雇用に相当するという。
感染症のただ中にあって、世界の多くの地域で不動産価格が上昇し、記録を更新している。同報告書は、「こうした矛盾するよう見える状況が生じたのは、主に各国の中央銀行、政策決定者、その他の関連機関が感染症の発生後、約17兆ドル(1ドルは約109.9円、約1867兆円)に上る公的支援を行ったためであり、これからさらに多くの政策的支援も打ち出そうとしている。各国政府が打ち出す金融・財政活性化措置は感染症による経済的損失を軽減したものの、不動産市場の膨張ももたらした」と指摘した。
居外IQIの共同創立者で取締役会執行取締役代表のジョージ・クミール氏は、「2022年第1四半期末まで、つまり感染症が発生して2年目には、こうした市場の不動産価格が引き続き上昇すると予測される。さらに多くの財政・金融活性化政策、(特に先進国における)高い経済成長率、ポストコロナの時期に回復する起業の意欲により、報告書が取り上げた市場の大部分で不動産価格はさらなる上昇圧力に直面することになるだろう」との見方を示した。
ただ、報告書は、「世界の多くの人気が高い不動産市場において、住宅の供給不足はすでに緩和されており、住宅をめぐる価格競争も下火になってきた。オーストラリア、カナダ、米国では、代理人の話によると、買い手は今後の持続的な価格上昇に対してますます否定的になっているという」とも指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年8月6日