上海のランドマークタワー・和平飯店はこのほどハイテクな「健康診断」を受けた。作業員がドローンを操縦し、この1929年に完成したこの高さ80m近くの歴史ある建物の上下を飛行させた。ドローンに搭載されている高画質カメラと赤外線カメラが集めた各種データ・情報は、5Gネットワークによってスピーディにバックエンドに伝送された。新華網が伝えた。
検査者の端末のディスプレイを見ると、建物の赤外線画像の色には濃淡がある。これは建物の対応する部分の温度が日差しの影響で異なるからで、赤外線画像の発色も異なっている。同済大学家屋品質検査ステーションプロジェクト3部責任者の盧軍氏の説明によると、さらなる分析によって建物の壁に空洞や水漏れなどの「内傷」の有無を判断できる。一方で、高画質画像と動画は外壁の亀裂などの「外傷」をすべて浮かび上がらせるという。
和平飯店の関係責任者によると、この「高齢」の歴史ある建物の健康を保ち、外壁の花崗岩の石材の剥がれ落ちを回避し、市民と観光客の安全を保障すると同時に上海の文化と建物の美をより良く示すのは一つの難題だ。従来の足場や吊り下げ器具を使う、または屋上からロープを吊るすといった人の手による検査は通常数日かかり、宿泊客に支障をきたすうえ、外灘万国建築群や南京路歩行街の全体的な美観に影響を与える。
盧氏は、「上述した従来の方法では不適切な操作により建物を傷つける恐れがあるが、地上で赤外線設備を持ち建物の検査を行えば仰角が大きすぎることで精度が大幅に落ちる。ドローンに赤外線設備と高画質設備を合わせ、近距離で壁を垂直スキャンするのが最良の解決方法だ。しかも1枚の外壁の検査にかかる時間も約30分しかない」と分析した。
上海電信モバイルネットワーク部アカウントマネージャーの李怡卿氏によると、5Gネットワークがより広い帯域と低遅延の強みを持つため、ドローンは5Gネットワークに接続すると反応がより速くなり、検査全体の安全性を保障できる。赤外線画像、高画質動画などの関係情報はデータ量が多いが、広帯域の5Gネットワークの伝送によりスピーディにバックエンドに伝送できる。
李氏によると、これらの技術は歴史ある建物の微損や沈下の検査、建設現場の違法建設のモニタリング、団地や街道の違法建築の調査などにも応用できる。上海市虹口区の関係当局はこのほど上海電信と「5G+ドローン+X」技術を応用し、違法建築のパトロールを展開しており、一定の使用年限を迎えた高層住宅の「健康診断」を行っている。
上海で設置済みの屋外5G基地局数は今年6月末時点で4万2000ヶ所以上、5G屋内小型基地局は約7万5000ヶ所にのぼっている。
中国情報通信研究院の王志勤副院長は、「5G通信インフラの整備が続き、『5G+』応用シーンが絶えず拡大している。これはデジタル化モデル転換を推進し、生産方法、ライフスタイル、ガバナンス方法の変革を駆動し、共に中国のデジタル強国の建設を後押しする」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年8月17日