現在、5G、人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術が勢いよく発展し、インダストリアル・インターネット(産業のインターネット)も大いに発展し、工場の形態が進化し続けている。将来の工場がどうなるか。中国新聞網が伝えた。
浙江省烏鎮で開催した2021年世界インターネット大会では、「インダストリアルブレーン+将来の工場」スタイルが展示された。このほど行われた「インダストリアル・インターネットのイノベーション・ブレークスルー」がテーマのフォーラムでは、業界の大物たちが将来の工場の青写真を描いてみせた。
将来の工場はどうなる?
オフィスに座って遠隔操作で「マイニングをする」のが、今や現実のものになった。「インターネットの光」博覧会では、5Gスマート鉱山パワーショベル操縦席を見ることができた。
この操縦席に座り、5Gや自動運転などの技術を利用し、鉱山の作業員は指先を動かすだけで、室内にいながら鉱山の作業を遠隔操作で行うことができ、鉱山での生産のスマート化と無人化が実現し、安全リスクが大幅に低下した。この装置は現在、山西省や内蒙古(内モンゴル)自治区などで実際に応用されている。
これは実は将来の工場の様子の一端を示すものだ。
中国工程院院士で上海交通大学の林忠欽学長は、「将来の工場はロボット、インターネット、ビッグデータ、デジタルツイン、AIなどのハイテクを融合し、少人数化、無人化、無灯工場の生産スタイルによって、高効率、高品質、グリーンな生産目標を達成するようになる」との見方を示した。
林氏は、「グローバル新技術革命に伴って、産業チェーンの再編とダブル炭素(二酸化炭素<CO2>排出量ピークアウトとカーボンピークアウト)計画が実施され、将来の工場の産業としての特色、組織モデル、技術要素は絶えず模索が行われ、絶えず進化している。将来の工場は全面的なデジタル化を実現し、高度なスマート化を実現し、十分なネットワーク化を実現し、真の効率と利益を生み出す必要がある」という。
また林氏は、「スマートロボットと人間の専門家が共同で構築する人・ロボット一体化協力システムを通じて、人の頭脳労働を拡大・延伸し、部分的に代替し、繰り返しが多く、低効率、低価値の労働を絶えず削減する。スマート端末、エッジコンピューティング、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、クラウドでの判断といった将来の工場の全プロセスをカバーする閉鎖型ループを構築し、『スマートは端末に、知恵はクラウドに、管理コントロールはディスプレーに』の将来の工場の各シーンにおける応用を実現することが必要だ」と指摘した。
中興通訊の朱永濤上級副総裁は、「『インダストリアルブレーン+将来の工場』をめぐっては、新しい方向、新しいスタイル、新しい原動力の3つの『新しい』がある。将来の工場は必ずコスト削減、品質向上、効率工場とグリーン、低炭素をめぐり、数多くの新たな方向性と誘導性をもった実践を打ち出すことになる。将来の機械は人に取って代わり、無灯工場、無人工場への変化が、これまでのリスクが高かった労働シーンを、低リスクで働きやすい作業環境に変えるだろう」との見方を示した。
日本経営工学研究院(東京)の関田鉄洪院長は、「将来の工場が追求することは、次の3点に要約できる。より高い品質、より優れたコスト、より高い効率であり、将来の工場が追求する最終的で最高のものになる」との見方を示した。
国家インターネット情報弁公室が発表した「デジタル中国発展報告(2020年)」によると、中国の産業デジタル化プロセスのスピードアップとレベルアップ、製造業の重点分野企業の重要工程におけるデジタル制御達成率とデジタル化研究開発設計ツールの普及率がそれぞれ、2016年の45.7%と61.8%から、20年の52.1%と73%に上昇した。
インダストリアル・インターネットとデジタルツイン、5G、AIなどのネットワーク情報技術が深く融合し、将来の工場は全面的にデジタル化するが、多くの挑戦にも直面する。中でも、データの安全性とサイバーセキュリティの確保が重視すべきテーマの1つだ。
中国電子科技集団のチーフエンジニアの何文忠氏は、「ベネズエラの国家電力網への攻撃、アルミニウム大手のノルスク・ハイドロの工場攻撃事件が常に私たちに注意を促し続けるのは、サイバーセキュリティがデジタル経済発展を根本的に保障するということだ」と述べた。
奇安信集団の斉向東会長は、「デジタル化は今や社会・経済発展の重要な原動力だ。デジタル化改革を深化させるには、まず第一次にサイバーセキュリティという基礎的なプロジェクトをしっかり突き固めることが必要だ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年9月29日