中国人の暮らしに溶け込みつつあるデジタル人民元

人民網日本語版 2021年10月18日14:38

インターネットに接続する必要はなく、スマートフォンを開いてアプリを立ち上げる必要もなく、カードかスマホをかざせば、シェア自転車のロックを解除したり、自動運転車や無人スーパーを体験したり、複数種類の外貨に直接両替したりもできる……最近、複数の地域で連携してデジタル人民元の応用テストが行われてきた。デジタル人民元は今、私たちの暮らしに溶け込みつつある。「工人日報」が伝えた。

マルチシーンでの応用が消費の活力をかき立てる

銀行のキャッシュカードと同じくらいのサイズで、小さな窓枠があるカードを自転車のロック部分にかざせば、すぐにロックが解除される。これは美団と中国聯通(チャイナ・ユニコム)、中国銀行が協力して開発したデジタル人民元の新たな応用だ。北京に住む高齢者の劉さんは、「これは自分たちのような高齢者にぴったりだ」と話す。

それだけではない。コーヒーを飲む、オフラインでバスに乗る、クリエイティブな土産品を買う、無人スーパーで買い物をするなども、すべてこの「見えるハードウォレット」があれば実現する。利用者がカードを出すのが面倒なら、スマホアプリ、スマートウォッチ、スマホケース、さらには高齢者の使用するスマート杖という選択肢もあり、さまざまなスタイルでデジタル化がもたらす便利さを享受することができる。

デジタル人民元には法定通貨であり国家によって価値が保障されている、受け取る側と支払う側がどちらもオフライン状態でも決済ができて便利、方向を定めて流通するため追跡可能、などの優位性が備わり、中国全土の複数の地域でテストが行われている。

山東省青島市では、中国初のデジタル人民元決済手段となる二酸化炭素(CO2)包摂プラットフォーム「青炭行」のアプリがリリースされた。北京では8月1日から、鉄道交通にデジタル人民元によるオフラインでの乗車券・カード購入、乗車券追加購入、チャージ、またアプリによるオンラインでの乗車券購入など、マルチシーンの応用が加わった。デジタル人民元は冬季五輪・パラリンピックにおけるフルシーンテスト応用が安定的に進められている。江蘇省蘇州市では、「網上国網(国家電網公司のオンラインサービスの窓口)」のクラウド端末でデジタル人民元による省をまたいだ料金支払い機能が実現した。湖南省長沙市では、デジタル人民元で支払う時に使える割引券10万枚を市民に配布し、バスや地下鉄に乗るときに割引きサービスが受けられるようにした。

長期的に効果あるメカニズムを構築してデジタル化モデル転換を推進

中国人民銀行(中央銀行)の范一飛副総裁はこのほど行われた中国(北京)デジタル金融フォーラム2021で、「デジタル人民元は金融の供給側構造改革の重要な内容であり、社会生活、生産手段のデジタル化モデル転換の推進にプラスになる」との見方を示した。

范氏の説明によると、デジタル人民元は段階的な成果を上げたものの、まだ早急に解決しなければならない一部の問題が存在する。たとえばルールや制度はすぐにも改善が必要で、受け入れ環境も改善が必要で、決済体制の整備も必要だという。

范氏は、「デジタル人民元の生態圏を構築するためには、ルール制定において、アカウントによる完璧な管理を行うことは不可能で、これまでの紙幣と同じやり方を求めることも不可能だ。打破すべきところは打破し、制限すべきところは制限する必要がある。技術の実現では、引き続き技術の世代交代を進めて全体的な先進性を維持し、既存の金融インフラを十分に利用し、従来の電子決済システムとの互換を実現する。生態建設では、イノベーションの活力をかき立ててサービスの質・効果を高める長期的メカニズムを研究し、デジタル人民元の包摂性と入手可能性を引き上げる」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年10月18日

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