読唇術を頼りに清華大学に合格した女性

人民網日本語版 2022年05月05日11:03

街中の車の行き交う音や人の話し声などは、一般の人にとってはごく普通のものであるものの、江夢南さんにとっては、全ての音が未知の世界のものであり、ひいては恐怖を感じさせるものだ。なぜなら、3年前に人工内耳を装着するまで、彼女の耳は全く何も聞こえなかったからだ。中央テレビニュースが報じた。

生後6ヶ月だった29年前、江さんは肺炎にかかり、薬の誤用が原因で、左耳の聴覚レベルが105dBになり、右耳は全く聞こえなくなってしまった。そして臨床上では、重度の神経性難聴と診断された。それでも、両親のサポートもあり、読唇術を学んで話し手の口の形を用いて言葉を理解して、自分も「話せる」ようになった。さらに一生懸命勉強して、湖南省の山奥にある瑶(ヤオ)族の村を出て、中国の名門大学である清華大学の大学院博士課程に進学できるほどまでになった。

江さんは、「一つの字を1万回読まないと、私はマスターできない。マスターすると両親はとても喜んでくれた。口の形がとても似ている音がある。例えば、中国語の『花(フアー)』と『瓜(グアー)』で、私の手を両親の口元において、空気の流れを感じ取らなければならない。『花』は空気の流れがあるものの、『瓜』にはない。何度も何度も練習して、少しずつ筋肉に記憶させていった」と話す。

両親は公立の小学校に通わせると決めていたため、江さんが特別支援学校に通ったことは一度もない。学校で、江さんは一番前の席に座り、先生の口を見て『聞き』、驚くほどの努力を重ね、記憶力を発揮し、一生懸命勉強し、成績はいつも上位だったという。

こうして負けん気が強い江さんは優秀な成績で吉林大学に合格し、修士課程にも進んだ。さらに、2018年には、清華大学の生命・科学学院の大学院試験に合格して、博士課程で腫瘍免疫と機械学習を専門に学ぶようになった。そして自分の可能性をさらに高めるため、3年前に人工内耳を装着。ついに、人生で初めて、この世界の音を聞けるようになった。

そして江さんは、「ある日突然、それまで一度も聞いたことのない音が聞こえるようになった。鳥の声やカエルの鳴き声、とても素敵な音が聞こえてくるようになった」と語った。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年5月5日

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