中国国家図書館で図書館司書として働く顧暁軍さん(41)は大変な語学好き。同館に勤務したこの12年で、とても難しいペルシア語やギリシャ語を含む十数ヶ国語を学んできた。そのため、ネットユーザーからは、「図書館の超人!」と呼ばれている。
今年初め、ドキュメンタリー「但是還有書籍(And Yet The Books)」で、顧さんがアルフォンス・ドーデの小説「最後の授業」を読んで、むせび泣きするシーンが大きな話題となった。
顧さんは、生粋の北京人で、首都師範大学の歴史学科を卒業した。ドキュメンタリーの監督が顧さんを見つけたのは、 コミュニティサイト・豆瓣の「顧さんを探している」という書き込みがきっかけだった。それは、国家図書館によく行くという人の書き込みで、「天然パーマで30歳過ぎの図書館司書。金属フレームの眼鏡をかけていて、やや小太り。早番の時もあれば、遅番の時もある。鼻がちょっと大きくて、いつもペルシア語を独学している」とその特徴が書かれていた。
実際には、顧さんは、ペルシア語だけでなく、ラテン語やギリシャ語、フランス語、ドイツ語、イタリア語など、十数ヶ国語を勉強していて、どの言語もそれなりに話すことができるという。これらの言語を国家図書館に勤務したこの12年で独学したという顧さんは、「外国語を勉強している全ての人と同じで、まず始めに学んだのは英語。大学生の時には日本語も少し勉強した。しかし、西洋の古典文学を研究していくにつれて、欧州の言語により興味を抱くようになった」と話す。
「読書は僕の趣味。これを仕事とは思っていないし、学術研究のためでもない。ただ自分が興味がある世界を追求したいだけ」と話す顧さんは昨年までスマートフォンさえ持っていなかった。しかし、図書館に入るためにはスマホで新型コロナ対策で用いられている健康コードを提示する必要が生じたため、スマホに換えることにしたという。そして、「でも、まだ微信(WeChat)などのアプリはダウンロードしていない。スマホは主に、読書や電話をかけるために使っている。チャットをしたり、ショートメッセージを送ったりすると、思考が止まってしまう。読書は何時間も没頭しなければならないと思うから」と話す。
また、「普段は、図書館に読書に来た人にサービスを提供するのが仕事。本を探したり、借りたりするのをサポートしており、1日に大体数十人を案内している。仕事の合間には、椅子に座って本を読んでいる。また、通勤の地下鉄でも本を読んでいる」という。