北京市では今、新型コロナウイルス感染拡大のため、封鎖管理が実施されている団地もある。そして、コミュニティのスタッフが野菜などを住民に届けている。そんな中、野菜の入ったたくさんの袋を手に持ったり、脇に抱えたりして歩く、防護服を着たスタッフの後ろ姿を捉えた写真が最近、多くの人を感動させている。北京日報が報じた。
北京朝陽区のあるコミュニティの李悦副主任(35)が電話取材に応じた際の一言目は、「私のことだけを書くのはやめてほしい。私は全てのコミュニティスタッフの縮図にすぎない」だった。
隔離施設に移送される住民に優先的に野菜を配送
4月23日、北京の農光東里団地の甲10棟で新型コロナウイルス感染者が確認され、同棟はすぐに封鎖管理が敷かれた。上の写真は同日に撮影されたものだ。
農光東里団地は人手不足に陥り、所属する街道(エリア)は他のコミュニティから応援を呼び、李さんもそんな応援に呼ばれた一人だった。「甲10棟には3つの単元(一つの階段を共有する家のまとまり)があり、54世帯が暮らしている。感染者が確認された単元の全ての住民が夜の間に隔離施設に移送される予定だった。当時、第一陣の野菜セットが封鎖管理エリアの入口に届いた。私たちは話し合い、隔離施設に移送される単元の住民に優先的に配り、おいしいものを食べて気持ちを落ち着けてもらおうということになった」と李さん。
古い団地であるためエレベーターはなく、野菜の入った袋を手で持って階段を上って配らなければならない。そんな配布作業中の後ろ姿を写真に撮られたことを、李さんは気付かなかったといい、「私の苦労をみんなに見てもらえたが、これは縮図にすぎない。この日の午後、同僚たちも野菜の入った大きなカゴ2つを抱えて階段を上っており、私より大変だったに違いない」と話す。
子供の頃からこの街道(エリア)で育ったという李さんは、「新型コロナウイルス感染拡大が発生してもう3年になる。北京市のコミュニティスタッフはみんな模範的で、一生懸命頑張っている」と話す。スタッフ6人が現在、農光東里甲10棟でサービスを提供しており、毎日、階段を50回以上も上り下りしているという。6人のうち2人は女性であるものの、男女の区別なく働いており、みんな積極的に仕事をこなしているという。
「8袋も持って重くないの?」と心配する母親に涙
李さんは母親を安心させようと、後ろ姿の写真を微信(WeChat)で送り、冗談交じりに、「お母さん、僕ネット上の人気者になるかもしれないよ」とメッセージを送ったところ、母親からの返信は、「8袋も持って、重たくないの?」と李さんを心配する内容だったという。
そう話す李さんは思わず涙声になりながら、「親というのはそういうもの。給料がいくらとか、出世ができそうかといったことより、ご飯をちゃんと食べているかとか、暖かい恰好をしているかとか、疲れていないかとかを心配してくれる。でも、私たちコミュニティスタッフが、自分の持ち場をしっかり守り続けることで、住民みんなが安心して暮らせるようになると思う」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年4月29日