19年間で受験生3万人が利用した「高考特別列車」が引退 内モンゴル

人民網日本語版 2022年06月07日14:09

中国大学統一入学試験(通称「高考」)のシーズンが今年もやって来た。ただ、例年ならこの時期になると多くの受験生で賑わう内蒙古(内モンゴル)自治区の大楊樹駅はやや閑散としている。19年連続で、大楊樹と阿里河の間で運行されていた「高考特別列車」が今年、歴史の舞台から姿を消したからだ。中央テレビ網が報じた。

内モンゴル自治区鄂倫春(オロチョン)自治旗大楊樹鎮は、大興安嶺山脈の南の麓に位置し、オロチョン族や達斡爾(ダフール)族、鄂温克(エヴェンキ)族といった少数民族の居住地となっている。ただ、高考の試験会場は、旗(県)所在地に設置しなければならないという規定があるため、以前なら大楊樹鎮の受験生は135キロ離れた阿里河鎮に行って高考を受けなければならなかった。しかし交通アクセスが悪いため、試験会場にたどり着くには、受験生や保護者はバスや列車を何度も乗り換える必要があった。

少数民族が住む地域は交通の便が悪く、受験生にとっては交通費もかさむといった問題を解決するべく、中国鉄路哈爾浜(ハルビン)局集団有限公司は2003年から、受験生が集中する大楊樹駅からアリフにある試験会場に向かう「高考特別列車」を運行してきた。昨年までの19年間、同列車を利用した受験生と保護者は延べ約3万4000人に達した。うち、7000人以上が厦門(アモイ)大学や内モンゴル大学などの大学に入学した。そして、同列車に乗った多くの学生が大学卒業後は大楊樹鎮に戻り、教師や駅員、個人事業者(主)といった職業に従事して、故郷に恩返ししている。

19年の間、「高考特別列車」に対するアップグレードも重ねられてきた。大楊樹鎮第二中学(中高一貫校)の李佰芳教師は、「2003年に高考特別列車の運行が始まった時は、『緑皮車』(従来の普通列車)で、扇風機で暑さをしのいでいた。そして、列車の乗務員が歌を歌ったり、伝統民間芸能の『快板』を披露したりして、受験生にエールを送ってくれていた。その後、2018年に、緑皮車からエアコン付きの列車にアップグレードした。そして、2019年、列車の乗務員はカメラで受験生の写真を撮り、それをプリントして『特別列車卒業写真』をプレゼントしてくれた」と振り返る。

2020年は、新型コロナウイルス感染が拡大したため、「高考特別列車」を予定通り運行するために、ハルビン局集団公司は3ヶ月前から、学校と連携し、利用を予定する受験生や保護者の数を調べ、切符を自宅まで送り、エアコン付きの列車を導入したほか、列車内では、受験生一人ひとりに、感染予防セットや記念切符、ペンケースなどのプレゼントを配った。

2022年4月14日、内モンゴル自治区の受験生募集委員会は、「オロチョン自治旗大楊樹第二中学校に高考の試験会場を設置」することを認可した。旗政府は153万元(1元は約19.9円)の資金を投じて、標準化された高考試験会場や試験問題の保管室などを新設した。また、旗教育体育局や大楊樹第二中学も50万元の資金を投じて、試験会場の塗装を塗り替えたほか、関連施設や設備を設置した。

大楊樹第二中学には今、標準化された高考の試験会場が28会場あり、各会場の収容人数は30人。合わせて受験生810人が試験を受けることができる。

大楊樹第二中学の2019年度に入学した生徒440人が今日(7日)から、ここで高考を受けることになっており、これにより「高考特別列車」は「引退」となった。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年6月7日

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