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数ある性格診断テストの中でも、今人気があるのは「MBTI」だ。微博(ウェイボー)ではMBTIに関する最も注目の話題には24億件を超えるアクセスがあり、関連のスレッドは100万件に迫る。
MBTIの人気に火が付いて、仕事をめぐり困ったことになる人が出てきた。
大学を卒業した闌さんは今年、北京の企業で財務の仕事の面接を受け、MBTIを受けさせられた。企業から告げられた診断結果によると、闌さんは財務の仕事に全く向いていないそうで、マーケティングプランニングへの転職を勧められた。というのも、診断では闌さんは外向的、活発、デザインが好きで、美しいものを好む性格とされたからだった。
しかし闌さんは、「自分でよくわかっている。自分は内向的で、挑戦や変化を好まない人間だということを」と話す。
こうした現象について、中国労働関係学院の張麗雲准教授は、「MBTIは人を募集する時のふるい分けの方法やツールの1つとすることはできる。だが、その内容を見て応募者の性格的な特徴がどのような仕事に合っているかについておおまかな判断を示すに過ぎず、あくまで補助的な役割のもので、これを決定的な要因とすることはできない」との見方を示した。
一部の企業がMBTIを基準にして社員のキャリアアップの方向性を決定していることについて、同学院法学院の沈建峰院長は、「まず、性格診断テストを行ない、その結果に基づいて特定の労働者を採用しないというのであれば、雇用差別の傾向があると言える。次に、このテストでは実施の過程で労働者の各種情報を大量に集める必要がある。集める情報が多ければ多いほど、その利用の必要性に対する論証作をより強化する必要があり、このようなテストの利用もより制限するべきだ。さらに、このテストの科学的根拠自体にも一定の議論がある。こうしたことからも、このテスト利用の必要性は制限されるべきだ」と述べた。
国有企業でHRを担当する妍羽さんは、「性格診断テストはそもそもリスクを避けるためのものであると同時に、応募者に対する責任感の表れでもある。応募者の性格が企業や職場にふさわしくなければ、入社した後で苦痛を感じるだろうし、どちらにとっても損になってしまう。雇用サイドから見ると、MBTIのコアバリューに注目するべきであり、ふるい分けに用いるより、コミュニケーションに用いた方がいい。性格診断テストは雇用サイドが応募者全員のタイプや特徴を理解する一助となるべきだ。そうすることでチームで協力する時に最もよい組み合わせを見つけることができる」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年6月8日