日本にリアルな中国を伝える日本人俳優

中日青年「パイオニア」(三)

人民網日本語版 2022年12月16日11:40

中国を舞台に活躍している日本人俳優たちがいる。彼らは自分たちのスタイルで中日両国間の文化交流を促進している。彼らは現在、それぞれの理由から活動の場を中国から日本に移しているものの、中国への思いを抱き続けている。

小松拓也さん:芸能界が繋いでくれた縁、リアルな中国をシェア

東京で開催されたある中日対外貿易イベントで、小松拓也さんは司会を務めていた。彼は以前、中国で俳優や歌手として活躍していた。その後、活動の場を日本に移したものの、今でも中国への思いを抱き続けている。

東京で開かれた中日貿易イベントの司会を務めた小松拓也さん(スクリーンショット)。

小松さんの芸能生活は中国と切っても切れない縁があると言えるだろう。小松さんは17歳の時に、東京渋谷でスカウトされたのをきっかけに芸能界入りした。その翌年、事務所社長の勧めもあり、中国語を学ぶため台湾地区に留学した。

その時のことを振り返った小松さんは、「父は中国の歴史が大好きで、母はとても熱心に中国語を勉強していた。ただ14歳の時、母が交通事故で亡くなってしまった。それでも母が中国語を勉強している様子は私の記憶にしっかり残っていた。そしてちょうど母と同じ名前だった事務所の社長が、母のことを聞いて、中国語を勉強するように勧めてくれた。偶然かもしれないが、運命のような気もする。これが私と中国の縁」と感慨深げに語った。

2007年、芸能活動に限界を感じていた小松さんは、引退も頭をよぎったという。しかし、中国語を学んでいたこともあり、中国で頑張ってみようと考えた。そしてちょうど中国で大人気となっていたオーディション番組「加油!好男児」に外国人も応募できると知り、これが最後のチャンスという気持ちで出演した。小松さんは、「大切な一戦で、得意の中国語を生かして、中国語と日本語でスラムダンクの主題歌を歌い、観客に高く評価してもらい、最終的に強いライバルに勝つことができた」と振り返る。

「加油!好男児」の地区大会を勝ち抜き、最終的には外国人で唯一全国大会トップ20に入った小松さんは中国で一躍人気芸能人となり、各種イベントやCMに引っ張りだことなった。そして、2008年、中国の歌手とアルバムをリリース。2010年の上海万博の開幕式には、大御所歌手である谷村新司以外では唯一の日本人歌手として参加し、主題歌を歌った。

しかし、2012年に中日関係は突然波乱に見舞われ悪化。小松さんの中国での活動もその影響を受け、帰国せざるを得なくなってしまった。しかし、小松さんの中国に対する熱い思いは今でも全く変わっておらず、帰国後も、中国と関係のある芸能活動をし続けており、中日の懸け橋としての役割を果たし続けたいと思っているという。

小松さんは現在、日本を活動の場としているものの、中国のファンが今でも注目してくれていることを知っている。例えば、彼の微博(ウェイボー)のフォロワーは23万5000人、ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」のフォロワーは10万人に達している。彼はそれらのファンに向けて日本で見聞きしたことや普段の暮らしなどについてシェアし続けている。

イベント会場でファンと記念撮影する小松拓也さん(スクリーンショット)。

その一方で、日本に帰国した後、小松さんは日本のメディアが報道している中国と、自分が実際に経験した中国には大きなギャップがあると感じたため、自分が中国で実際に見たり、感じたりしたことを日本に向けて伝える必要があると考えるようになった。

2017年、小松さんが主催、プロデュースした中国語と日本語を駆使した舞台公演「3年前の君へ」は、日本での公演だけでなく、上海公演も実現した。この舞台はある中国人女性が日本を旅行で訪れた際、自殺を図ろうとしていたある男性を発見して励ますシーンからスタートする。その後、一緒に起業し、誤解など紆余曲折を経て、恋が芽生えていく。小松さんは、「これは恋愛を描いた舞台。僕の思いをそこに込めた」と話す。そこには、中国のファンが自分を救ってくれたこと、助けてくれたことに対する小松さんの感謝の思いが込められている。そして、「男女間の感情の波は、中国と日本の間にある誤解やトラブル、コミュニケーションなどを象徴している。中日両国の国民が、偏見を取り除いて、いろんな角度から相手国の国民を理解し、誤解を互いに解き、一緒に歩むことを願っている」と小松さん。

小松さんは今後の夢として、「中日間の文化発信を今後の活動の中心とし、さらに多くの映像作品を通して、リアルな中国を日本人に伝えたい。そしてリアルな日本についても中国人に伝え、日中交流の面で頑張りたい」と語った。

小川夏果さん:女優から中日文化を伝えるプロデューサーへ

東京のある録音スタジオには、映画監督と共に、忙しそうに働く小川夏果さんの姿があった。

2013年頃から日本の芸能界で活動するようになった小川さんは、「海難1890」、「信長協奏曲」、「真田十勇士」といった映画や、「TEAM -警視庁特別犯罪捜査本部」、「十月十日の進化論」、「刑事7人」といったドラマに出演した。

日本の芸能界で女優として活躍する小川夏果さん (写真・本人提供)。

しかし、仕事が軌道に乗っていた2019年、家族や友人の反対を押し切り、中国への留学を決めた。

中国に留学した理由について、小川さんは、「何度か中国に旅行に行ったことがあり、中国の魅力に惹かれた。また当時出演することが多かった時代劇について学ぶ中で、日本の歴史や文化は中国と密接な関係があることを知り、中国に行って学び、もっと突き詰めたいと思うようになった」と説明する。

2019年9月、小川さんは北京電影学院に留学した。そこでは、中国人の率直さや思いやりが深く印象に残ったという。また、「歴史認識という面では、両国の人々の間にはギャップがあるものの、日本のことが好きな中国人もたくさんいる。でも、中国に関する良い情報は、日本にはなかなか届かない。そのため、自分の作品を通して、日中間に交流の懸け橋を作りたいと思った」と語る。

ところが、留学から数ヶ月で、新型コロナウイルスの感染拡大が発生し、小川さんは帰国せざるを得なくなってしまった。この3年、小川さんは中日文化交流を主な仕事としている。2020年、小川さんは司会として、中日が提携して製作したアニメキャラクターを日本でPRするイベントに参加した。そして、今年はプロデューサーとして北海道へ行き、中国の稲作文化の起源に迫るドキュメンタリーを製作した。

映画の編集作業に忙しい日々を送る小川夏果さん(スクリーンショット)。

小川さんは現在、同じく新型コロナウイルスの影響で日本に帰国せざるを得なかった北京電影学院で映画監督の勉強をしている友人と一緒に、監督自身の経験を描く映画を製作している。小川さんは、女優としてその作品に出演しているほか、プロデューサーとして製作にも関わっている。監督の卒業作品であるその映画の完成を目指して、最後の編集作業に勤しむ小川さんは、また是非北京に行きたいという思いを、期待に満ちた目で語っていた。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年12月16日

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