山東省の日照大学城には、「サイレンス麺レストラン」がある。食事の時間帯になると、大勢の客が来て賑わうものの、調理師やスタッフは「黙々」と働いている。なぜなら彼らは聴覚障害者だからだ。
スタンダードなラーメンは1碗4元(1元は約19.7円)、それに目玉焼きをトッピングするならタマゴ1個1元。店内にはメニューや価格が大きく書かれたパネルがある。
子供の頃の病気が原因で聴力を失ったという高樹彬さん(41)は、20年近く麺づくりの仕事を経験してきた。そして面接に合格し、晴れて同レストランの調理師兼副責任者となった。
同レストランの責任者である趙宏亮さん(28)は、最年少のスタッフ。大卒で、服飾デザインを勉強してこともあるという趙さんが、従業員たちの「満場一致」で責任者となり、レストランの運営を担当している。
キッチンとホールを忙しそうに行き来している夏雪玲さん(42)は、笑顔を絶やさない。そんな夏さんは2児の母親で、これまで様々なアルバイトを経験してきたが、同レストランで働くようになり、ようやく安定した仕事と収入を得て、子供の大学の学費を稼ぐことができるようになったという。
キッチンで麺の加工や皿洗いなどの作業を忙しそうにこなす李磊さんは、真面目で、よく働くスタッフ。同レストランで働くようになって一番変わったのは、笑顔が増え、明るくなったことだという。そんな李さんの一番の願いは自分と母親の耳を治療することだ。
「サイレンス麺レストラン」では、麺料理の注文や目玉焼きをトッピングする場合、スタッフに対して、手を使った簡単なジェスチャーで伝える。そして何か問題が生じた場合には、文字を書いたり、スマホに文字を打ち出すことで伝えることができる。
麺の追加は片手で指ハート。
目玉焼きをトッピングする場合は両手でハート。
「サイレンス麺レストラン」の崔凱マネージャーは、「ジェスチャーによる注文は、一人でも多くの人に働いている聴覚障碍者に思いやりを示し、彼らを応援してもらうため。また聴覚障碍者にも人々からの思いやりを感じてもらうため」としている。
また同レストランでは、身体障がい者の客には無償で食事を提供しているという。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年5月26日