串焼きバーベキューが爆発的な人気となり、話題となった山東省淄博市が最近、「高齢者向け食堂」がきっかけで再び注目を集め、たくさんの「いいね!」が寄せられた。しかも「前からあるよ」といったコメントも多くの地元住民から寄せられた。現在、同市には「高齢者向け食堂」が1000ヶ所以上あり、高齢者は自宅近くで、温かい作りたての食事を食べることができるようになっている。
80歳以上なら無料の「高齢者向け食堂」
沂蒙山の山間部に位置する淄博市沂源県では高齢者が約8万5000人暮らしている。その住まいは分散しており、交通アクセスもよくない。例えば、沂源県姫家峪村では、多くの若者が出稼ぎに出ているため、高齢者の1日3度の食事が大きな問題となっていた。そこで、同県は2022年、各村に「高齢者向け食堂」を設置することにした。
80代の王政義さんは一人暮らしで、「高齢者向け食堂」の常連客。「一人なのでちょっと作るのも面倒くさいし、たくさん作ると食べきれずに腐らせてしまう。自炊するより、食堂のほうがずっといい」と話す。
農村の高齢者の支払い能力を考慮し、政府は食堂を利用する高齢者を対象に補助金を支給している。そして、60‐69歳の高齢者は一食あたり2元(1元は約19.5円)、70‐79歳の高齢者は1元、80歳以上の高齢者は無料で食事ができるようになっている。
現時点で、沂源県にはこうした「高齢者向け食堂」が244ヶ所、「食事サポートサービスポイント」が138ヶ所あり、食事サービスが県の446村全てをカバーしている。
高齢者は毎日、朝から食堂に集まり、レクリエーションやおしゃべりを楽しみ、食堂が高齢者の「食事」の問題だけでなく、一人暮らしの高齢者の孤独感という問題も解決している。
現時点で、淄博市には「高齢者向け食堂」が1000ヶ所以上あり、昼食時の利用者は1ヶ月当たり延べ30万人以上となっている。
「政府補助金+村+高齢者家庭」が3分の1ずつ負担して運営
「高齢者向け食堂」の資金の出所について、淄博市民政局の董玉磊副局長は、「その長期にわたる運営は設置よりも難しい。現時点で、食堂の運営資金は主に政府の補助金、村、高齢者の家庭の三者が負担している」と説明する。
姫家峪村の村民委員会の委員・侯振宝さんによると、食堂にかかる費用は政府と村、高齢者がそれぞれ3分の1ずつを負担しているという。
姫家峪村の「高齢者向け食堂」は1日当たり約150人が利用しており、費用は年間合計約30万元。現時点での政策に合わせて、村は年間約10万元を「高齢者向け食堂」に投じている。
食堂の運営コストを低減するために、淄博市は政策を打ち出して、シルバーサービス機関が食堂を拠点として、デイサービスや健康管理といった複数のサービスを展開するよう奨励している。
淄博市は現在、「高齢者向け食堂+幸福院」、「デリバリー+高齢者向け食堂」、「デイサービスセンター+高齢者向け食堂」、「ファーストフードショップ+高齢者向け食堂」といったさまざまな運営スタイルを打ち出して、食堂の運営範囲を拡張している。
淄博市の多くのネットユーザーは、「食堂のほか、村には高齢者用アパートもあり、必要とする高齢者に無償で提供している。また、高齢者対象の無料散髪や県またぎのバスの無料乗車といったサービスもある」といったコメントを寄せている。
串焼きバーベキューだけでなく、人々の心をほっこりさせてくれる「高齢者向け食堂」が大きな話題となっている淄博市が今後も良いニュースをたくさん届けてくれることだろう。また、さらに多くの都市から心温まるニュースが届くことを期待している。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年5月16日