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【ぶらり北京】ドラゴンボートを漕いでみた編

人民網日本語版 2023年07月07日13:53

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回はなんと、什刹海でのドラゴンボート体験!いつもは食いしん坊ぶりばかりを発揮している2人が突如アクティブなスポーツウーマンに?さて、どうなりますことやら…

動画では什刹海でのドラゴンボート体験を臨場感たっぷりにレポ!什刹海の水面を吹く風をあなたも感じてみてね!

🐉ドラゴンボートレースを観戦してみた!

この夏、ドラゴンボートが熱い。競技人口やチームも増えているという。端午節(端午の節句、今年は6月22日)前後には、中国各地でドラゴンボートレースが開催された。広東省や香港特別行政区など、もともとドラゴンボートレースが盛んな南方エリアだけでなく、山東省など北方エリアでも大会が目白押し。北京でも盧溝橋や円明園で大会が行われた。

端午節に円明園で行われたドラゴンボートレースの様子(撮影・勝又あや子)。

端午節に円明園で行われたドラゴンボートレースの様子(撮影・勝又あや子)。

A姐とG姐もこういう伝統行事は大好き!猛暑日にも関わらず、円明園まで見物に出かけてみた。ドラゴンボートレースというと直線コースのイメージだが、この日は割合小さめの池で行われたこともあってか、池に設置されたコースを周回するレースだった。

この日、円明園にまで出かけたのは、「北京インターナショナルドラゴンボートチーム」という外国人も多く参加するチームを応援するためでもあった。チームメンバーは中国人のほか、イタリア人、ドイツ人、そして日本人と国際色豊か。この日のレースでは素晴らしいチームワークを発揮し、見事2位という優秀な成績を収めた。

見事2位に輝いた北京インターナショナルドラゴンボートチームの皆さん(撮影・勝又あや子)。

見事2位に輝いた北京インターナショナルドラゴンボートチームの皆さん(撮影・勝又あや子)。

俄然ドラゴンボートに興味がわいたA姐とG姐。このチームのメンバーである和泉日実子さんにいろいろお話をうかがった。和泉さんは日本のドラゴンボートの強豪チーム「東京龍舟」のメンバーでもあり、端午節の翌週には、香港行政特別区で開催された国際大会に日本代表として参加したというツワモノのスポーツウーマンだ。

北京インターナショナルドラゴンボートチームメンバーの和泉日実子さん(撮影・勝又あや子)。

北京インターナショナルドラゴンボートチームメンバーの和泉日実子さん(撮影・勝又あや子)。

和泉さんから、ドラゴンボートのように前から後ろに漕ぐ場合は、船の櫂のことを「オール」ではなく「パドル」と呼び、ボートに乗るメンバーの配置を決めることを「配艇」と言うなど、ドラゴンボート豆知識を説明してもらう。そして和泉さんのこんな一言が、私たちを真夏のボート体験へと誘ったのだった。

「什刹海で毎週練習しているので、よかったら体験しに来ませんか?」

🐉まずは什刹海の映えスポットに行ってみた!

そんなわけで、端午節から2週間後の週末にぶらりと什刹海へ。メインの目的はもちろんドラゴンボート体験なのだが、せっかく北京の人気観光スポットでもある什刹海エリアに来たからと、まずは前海沿いにあるカフェに立ち寄った。

店内から前海、鼓楼・鐘楼が見えるとあって、お店に入るまで20分待ちという大人気。私たちが陣取った屋上のテラス席には、ひっきりなしにお客さんが上がって来ては写真を撮っていく。ツバメが舞う夏空の下で前海を眺めながらお茶を飲むというシチュエーションはバッチリ!

屋上のテラス席からの眺めと写真映えドリンク(撮影・勝又あや子)。

屋上のテラス席からの眺めと写真映えドリンク(撮影・勝又あや子)。

人気のカフェを楽しんだ後は、銀錠橋を渡り、後海の岸辺を散策。夏の日差しを避けて水際で涼む人たち、ハスの花の上で風にそよぐ柳の枝、水泳やSUPなどウォータースポーツを楽しむ人の姿も見られ、実に気持ちのいい散歩になるはずが……いやはや暑いのなんの!すっかり干上がってしまいそうだ!

後海沿いの夏景色(撮影・勝又あや子)。

後海沿いの夏景色(撮影・勝又あや子)。

ようやく目的地の後海の西岸に着いたものの、あまりの暑さにまたもやカフェに駆け込んだ。冷房の効いた店内と冷たいドリンクに、思わず「生き返った~!」という言葉が口からこぼれる。A姐もG姐も、こんな有様でドラゴンボート体験なんてできるの?頭には疑問符しか浮かんでこない。

カフェ内から見た後海西岸の眺め(撮影・勝又あや子)。

カフェ内から見た後海西岸の眺め(撮影・勝又あや子)。

炎天下の散策でヘロヘロのA姐とG姐を「生き返らせた」冷たいドリンク(撮影・勝又あや子)。

炎天下の散策でヘロヘロのA姐とG姐を「生き返らせた」冷たいドリンク(撮影・勝又あや子)。

🐉ドラゴンボートを漕いでみた!

そうこうしている間に、練習の待ち合わせ時間に。午後6時近くとあって日差しはやや弱まっているものの、まだまだ暑い。「お疲れさまです!」と笑顔で迎えてくれた和泉さんに一応笑顔を返したものの、もう不安しかない。そしてチームを率いる賀鳴隊長にご挨拶。賀隊長はドラゴンボートを漕いで21年のベテランだ。ド素人のA姐とG姐の練習参加を快く受け入れてくれた隊長には、感謝しかない!

まずは軽く準備運動。そしてチームメンバーの女性からパドルの持ち方と漕ぎ方をレクチャーしてもらう。腕だけでなく、足や腹筋も使うという説明を受けるも、正直なところうまくイメージできない。でも、ここまで来たらもうトライするしかない!

ドラゴンボートから見た後海の眺め。遠くに北京一の高層ビル「中国尊」の姿も(撮影・勝又あや子)。

ドラゴンボートから見た後海の眺め。遠くに北京一の高層ビル「中国尊」の姿も(撮影・勝又あや子)。

いよいよ乗艇。ドキドキのA姐とG姐を乗せて、ボートは後海の水面を滑りだした。さっき教えてもらったばかりの漕ぎ方をおさらいする間もなく、掛け声に合わせてとにかくパドルを動かす。思ったよりも水の抵抗が強い。気を抜くとパドルが流されて、跳ね上がった水しぶきで後ろの人が濡れたり、パドルどうしがぶつかったりする。「腕を伸ばして、足の力も使って、リズムに合わせて……」。教わったことをひたすら頭の中で反芻しながら、漕ぐ!漕ぐ!漕ぐ!

A姐とG姐の後海グルグル記録(提供・北京インターナショナルドラゴンボートチーム)。

A姐とG姐の後海グルグル記録(提供・北京インターナショナルドラゴンボートチーム)。

この日、私たちは「後海をグルグル回る」練習をほんの少しだけ体験させてもらうつもりでいた。時間にして30分から1時間弱。とりあえずドラゴンボートを体験し、写真と動画を撮らせてもらえば十分という軽い気持ちでいた。しかし、賀隊長は思いがけずスパルタキャプテンだった。結局、私たちはほぼ2時間の練習にフルで参加することになったのだった。

🐉ドラゴンボートはもう生活の一部

練習の間、必死にパドルを動かしながら考えていたのは、「息を合わせないと後ろのメンバーに迷惑がかかる」ということだった。これはプレッシャーではあったが、それと同時に頑張ろうというモチベーションにもなった。そして「皆が力を合わせて一艘のボートを漕ぐ」ということに、気持ちがグッとくるものがあった。

「皆が力を合わせる」ことは、このチームのユニフォームにも表れている。ユニフォームのベースは紺色、そこにパドルを持って向かい合う2匹の龍が黄色でデザインされている。このロゴをデザインした賀隊長によると、皆が力を合わせるドラゴンボートに相応しいパドルを持った2匹の龍を採用したのだという。

ユニフォームとパドルをデザインした賀鳴隊長(提供・取材対象者)。

ユニフォームとパドルをデザインした賀鳴隊長(提供・取材対象者)。

パドルも賀隊長がデザインした。「北京は歴史ある古都。私たちはそんな北京の宮廷の庭園だった人工湖・後海を練習場所にしている。そのため、この練習場所に相応しいデザインにした。皇帝の身につける黄色をベースにしたパドルを手にボートを漕ぐことで、北京の文化と特色、そして北京インターナショナルドラゴンボートチームの一員だと感じることができる」と賀隊長は話す。

2匹の竜がパドルを持つデザインのユニフォームと北京らしさ満載のパドル(撮影・勝又あや子)。

2匹の龍がパドルを持つデザインのユニフォームと北京らしさ満載のパドル(撮影・勝又あや子)。

「ここは故宮のすぐ近くにあり、皇帝が園遊に訪れた場所。ここで漕ぎたいという中国のドラゴンボートチームは多いけれど、ほとんど対外開放していないので、なかなか難しい」と賀隊長。だからこそ、ドラゴンボートチームにとって憧れの地であるこの場所で練習できることをとても光栄だと考えている。

端午節が過ぎ、ドラゴンボートを取り上げるメディアも減り、人々の話題にのぼる機会も少なくなった。でも、賀隊長率いる北京インターナショナルドラゴンボートチームのメンバーは什刹海でボートを漕ぎ続ける。「ドラゴンボートは端午節だけじゃない。もう生活の一部」。練習の後、賀隊長のSNSにはこんな言葉が記されていた。

後海の向こうに沈む夕陽に向かってドラゴンボートを漕ぐ(撮影・勝又あや子)。

後海の向こうに沈む夕陽に向かってドラゴンボートを漕ぐ(撮影・勝又あや子)。

夕陽に照らされて必死にパドルを動かしたあの日のことを、折に触れて思い出す。「力を合わせて一艘のボートを漕ぐ」ドラゴンボート体験は、筋肉痛とともに、心に何日も残り続けた。(文・勝又あや子)

「人民網日本語版」2023年7月7日

ぶらり北京

北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩き、見たり、食べたり、遊んだり?興味の向くまま、気の向くまま、北京の魅力をゆる~くお伝えしていきます。

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