6月26日に青海省海南蔵族自治州共和県で撮影された太陽光発電所。(写真提供・新華社。ドローンで撮影)
英経済誌「フィナンシャル・タイムズ」のサイトは今月22日、米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授の論考「中国の太陽エネルギー分野における主導的地位により西側は困難な選択に直面」を掲載した。
アリソン教授は、国際エネルギー機関(IEA)のデータによれば、2023年に世界の太陽エネルギー生産にかかる支出が史上初めて、石油の生産にかかる支出を抜くことになる。前者は3800億ドル(1ドルは約144.3円)になり、後者は3700億ドルになると述べた。
世界では今年、太陽光パネル関連の支出が石油関連の支出を上回り、太陽光パネルのほとんどが中国で製造されたものになるとみられる。IEAは、「中国は世界の太陽電池の85%、太陽電池用ポリシリコンの88%、太陽電池の中核であるシリコンインゴットとシリコンチップの97%を生産している」と指摘した。
中国は非常に速いペースで太陽エネルギー分野での主導的地位を獲得した。2005年には欧州がこの競争を主導し、世界の太陽エネルギー製造業の5分の1をドイツが占めていた。10年には世界の太陽光パネル10枚のうち8枚は欧州で取り付けられたが、欧州が生産したのはそのうちの1枚だけだった。今年は世界の太陽光パネル10枚のうち中国が8枚を生産し、そのうち5枚が電力網に接続している。23年だけで、中国の太陽光発電設備容量の新規増加分が、1970年代初めに米国が初めて太陽光パネルを購入してから米国で取り付けられた太陽光発電設備の容量の合計を上回ることになる。
この分野での中国の成功を後押しした要因は、中国を誰にも負けない世界の工場に押し上げた要因とぴったり重なる。こうした要因の中には、迅速な監督・管理・審査・承認、低廉な労働力コスト、比類のないサプライネットワーク、急速に成長する国内需要などがある。
西側諸国の多くが、30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を半減させ、50年までに排出実質ゼロを実現すると約束している。この目標を達成するには、排出力削減のほとんどを炭化水素から太陽エネルギーへの転換に頼らなければならない。
しかし残酷な事実として、電気自動車を含むその他のグリーン技術分野での状況と同じように、太陽エネルギー分野でも西側のグリーンな未来には赤信号がともることが予想される。
欧州連合(EU)が「システム的な課題」などと呼び、米国には主要な競争相手と見なされる国に頼らなければならないことは人々を不安にさせている。しかし、それよりも大切なことは、欧州の人々も米国人も中国人も、同じ1つの小さな星の上で一緒に生きているということだ。
自国民の生存を確保するため、西側諸国のリーダーは競争すると同時に協力を進める方法を見つけなければならないだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年6月29日