無印良品アートディレクター原研哉氏「未来の風景に伝統を見たい」 (3)
原研哉氏は、日本の若い人とは違って中国のデザイナーには「エネルギー」と「生命力」がみなぎっていると考えている。「私は中国のデザイナーが日本とは違って人々をあっと驚かすような作品を作り上げてくれることを願っている」といい、「無印良品は誇張や主張が強いブランドではないため、主張するのではなく生活のニッチなところに浸透するブランドであると考えている。部屋中がすべて有名ブランドや非常に高価な家具でいっぱいでも、机の上に無印のカップが置いているかもしれない」と語る。
「私は隙間の中で人々の生活に浸透したいと強く願っている。隙間ではあるが、不可欠なものなのだ」。彼は格別に高価な車を運転するような「よいもの」は人に圧迫感を与えることがあり、より高次元の「よいもの」はさらに理性的で節制的であると考えている。
「中国のデザイナーが無印良品のように世界的に影響力を持つ日用品ブランドをデザインするには、どのような方向に向かったらよいか」と問われて、原氏は強い興味を示し、しばらく考えこんでから彼が思う中国の普遍的な文化の美しさの特徴は「濃密」だと答えた。
「中国の特徴は何を創るにしても、細部にわたることだ。文様もシルクも彫刻などもどれも非常に細かく濃密で精巧だ。日本の細かさとは違う」。
取材の最後に、原研哉氏はカフェの二階のバルコニーで夕日が西に傾き、夕焼けが低層建築群の屋根を照らす最後の金色を眺めていた。彼はスマホを取り出すと向い側の建築の紅格子を撮影した。彼自身と古代建築、高くそびえる樹木の陰影が一体化していた。そして「私はこの時間の大柵欄が大好きなんです」といった。(編集EW)
「人民網日本語版」2013年10月9日