人民日報:大国は自重し、成果を出すべき
シリア問題は政治的解決以外にない。中国の立場は鮮明であり、行動も実務的で力強い。(人民日報「鍾声」国際論評)
シリアの化学兵器を国際管理下に置くとのロシアの提案に、シリアは前向きな反応を示し、オバマ米大統領は「前向きな進展の可能性がある」との見解を示した。この最新の動きはシリア問題の最悪のシナリオを回避し、国際関係システムへの重大な打撃を回避する一縷の希望をもたらした。
中国はロシアの提案を歓迎し、支持する。シリア情勢の緊張緩和、シリア問題の政治的解決、シリアおよび地域の平和・安定維持にプラスでありさえすれば、国際社会はどの提案も前向きに検討すべきだ。中国の立場は鮮明であり、行動も実務的で力強い。国際世論は、シリア反体制派代表団が現在中国を訪問していることに注意を払っている。
シリアの内戦はいまだ激しく、ひとたび米国がこの主権国家に対して国連安保理の承認を経ない軍事攻撃を行えば、二重の戦争となる。これがどのような災禍を意味するかは、想像に難くない。中東地域の安全保障情勢は複雑かつ敏感であり、火薬庫に火をつけるのは容易だが、状況をコントロールするのは困難だ。まだ現実感を失っていない戦略アナリストである、米国のブレジンスキー元大統領補佐官(国家安全保障担当)も武力行使に反対ではないが、シリア衝突の波及する地域および暴力の程度が急激に拡大、エスカレートする可能性があることは認めている。このことから、なぜニューヨーク・タイムズ電子版がシリア問題の最新の動きを肯定的に捉えたうえ、「オバマ大統領はシリアの兵器に関するロシアの提案を受け入れた」と報じさえしたのかが容易に理解できる。
「大国は歌劇場のプリマドンナのように、国際舞台に上がるたびに天地を揺り動かす」。米国の学者、ファリード・ザカリアのこの比喩は現在の国際関係システムにおける大国の特殊な地位と肝要な役割を描写している。プリマドンナが美的愉悦をもたらすのと異なり、大国の影響力は複数のベクトルを持つ。うまく運用すれば、自ずと世界により多くの幸福をもたらす。ひとたび方向を見失えば、甚大なトラブル、さらには災禍をもたらす。