日本 五輪の奇跡再演は難しい
国際オリンピック委員会(IOC)が8日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催した第125回IOC総会では、世界中の注目が日本に集まった。2020年夏季オリンピックの開催地を決定する2回の投票の結果、東京が歴史で名高いトルコのイスタンブールと五輪に向けてボルテージを上げていたスペインのマドリードを圧倒的優位で敗り、開催地に決定したのだ。1964年の開催から56年の時を経て、東京は再び開催権を手に入れ、アジアで唯一五輪を2度開催する都市になった。「国際金融報」が伝えた。
五輪の輝きの裏側には、長年にわたり低迷が続く日本の経済再興への差し迫った期待が隠れている。安倍晋三首相などは、五輪開催を「起爆剤」に例え、五輪開催は日本経済の成長にプラスになり、15年続いたデフレからの脱却を可能にするとまで言っている。
安倍晋三の外祖父の岸信介首相(当時)は、59年に64年の五輪開催権を東京にもたらし、これを起点に以後の10数年間、日本経済は急速な成長を遂げ、日本は米国に次ぐ世界2位の経済強国となった。
安倍首相にも外祖父と同じようなチャンスが訪れるだろうか。日本経済は本当に五輪をよりどころにしてデフレから脱却できるだろうか。東京は76年に五輪を開催したカナダ・モントリオールや04年のギリシャ・アテネのように、負債が積み上がった都市にならないだろうか。
▽日本には資金があるのか?
昔と今では事情が違う。60年代に米国が日本経済をしっかり支えていたのとは異なり、今の日本経済は相対的に弱体化し、「失われた20年」の苦しみを経験してきた。そこで外部では、日本が巨額の五輪開催費用をまかなえるのかどうかについて懸念が広がっている。
あるデータによると、日本の20年五輪開催費用は34億ドルに上る見込みで、これには技術、人材への投資、会場、文化、交通など各方面の費用が含まれ、特に会場建設が予算の3割以上を占める。だが21世紀に入ってからの五輪では、予算をオーバーしない都市は少なく、たとえば英国は12年ロンドン五輪で開幕直前の昨年6月までに費用が93億ポンド(約1兆4400億円)に達し、当初の予算をはるかに上回った。