宅配ドライバーの繁忙期到来 11月11日の業務量は普段の3、4倍
中国でオンラインショッピングの受注量が年間で最大となる11月11日(注:中国の独身の日。各ネットショップが大幅値下げキャンペーンを実施する)が近づいてきた。宅配ドライバーは、1年間の中でも最もハードかつ最も稼げる月を迎える。この繁忙期に大きな期待を寄せる人がいる一方、恐れをなして思わず逃げ出したくなる人もいる。宅配大手・申通快達通州営業所の宅配ドライバー・徐さんは、「毎年11月は、11月11日があることから、収入は倍増する。だが、作業量は普段より3、4倍多い。このため、11月11日を目前にして宅配ドライバーを辞める人もいる。この高収入は、想像を超えるハードワークによって初めて手にすることができる」と話した。北京青年報が伝えた。
徐さんは、宅配ドライバーの現状について、次の通り語った。
(1)「双十一(11月11日)」の業務量、普段の3、4倍に
全ての宅配ドライバーにとって、毎年11月11日は、肉体的・心理的に最も大きな試練の時だ。特に、11月11日の翌週は、毎日12、13時間働くのはザラだ。だが、毎年当たり前のこととはいえ、仕分けセンターに帰るたびに、山積みなった宅配荷物を目にすると、大きな心理的なプレッシャーがかかり、「全ての荷物を配り終えることができるのだろうか」と思ってしまう。
普段は、1日に70、80件の荷物を配達するが、11月11日の後は、連日ほとんど150件を上回る。配達量が2倍とはいえ、実際の作業量は3、4倍増える。配達物が増えることで、配達先が増え、宅配ドライバーが仕分けセンターを往復する回数も増えるためだ。
(2)宅配ドライバーの報酬、1万元以上はあり得ず
徐さんは、「宅配ドライバーの月給は1万元(約16万1千円)以上という噂は、昔からネット上に飛び交っていた。だが、自分も周りの同僚も、こんなに多くもらったことなどない。普段は4千元(約6万5千円)位で、11月の繁忙期でも7、8千元(約11万3千円から13万円)止まりだ」と語る。
「もし、宅配の仕事だけで1万元を稼ごうとすれば、毎日飲まず食わずで、トイレにも行かず、12時間ぶっ続けで配達をしなければならない。ネットで噂されている『宅配ドライバーの月給は1万元以上』というのは、完全歩合制の場合には成り立つかもしれないが、一般の宅配ドライバーにはまず不可能だ」。
○「11月11日」のサービス品質を保証できない宅配企業
毎年9月と10月は、「11月11日」と年末のオンラインショッピングのピークに備えるため、宅配ドライバーの求人もピークとなる。円通快達華北区仕分けセンターの担当者は、「繁忙期のピークになると、日当80元から100元(約1300円から1600円)で、副業バイトの人を雇い入れる。だが、彼らには業務トレーニングを行わないため、運搬業務を少し手伝ってもらうにとどまる」と話した。
中国快達諮訊網の徐勇・首席顧問は、「11月11日は、宅配ドライバーがそれこそ身体を張って仕事する時期で、多くの貴重な資源を犠牲にしており、ヒューマナイズの視点からかけ離れている。宅配企業側も、このような現状に持ちこたえる力はなく、彼らの業務キャパシティを超えており、サービスの品質を保証すすることは不可能だ」と指摘した。
また、徐首席顧問は以下のような見方を示した。
宅配企業の健全な発展という点から見ると、電子商取引業界の「11月11日」販促キャンペーンのパターンは、見直されるべきだ。例えば、販促キャンペーンの期間を延長し、市場の状況を調整して需給バランスの促進を図る。また、政府の物価担当部門は、宅配業界に対して調整の手を加えるべきだ。宅配企業が繁忙期の配達料金を上げることを許可し、価格調整によって、宅配サービス需要のバランスを取る。業務サービスの品質を保証できれば、「安価での投げ売り」を避けることができる。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年10月22日