日本に物価上昇の兆し 増給なしで国民生活に打撃も
安倍晋三首相はデフレ脱却を自らの主要政策としており、これにより経済成長に通じる扉を開こうとしている。しかし日本という世界3位の経済国における一般人にとって、所得増が低迷する状況下、最近の物価上昇の兆しがもたらしているのは利益ではなく苦しみの方だ。米ウォール・ストリート・ジャーナル誌の8月31日の記事を引用し、環球網が伝えた。
広告会社に勤務する小林さん(39歳女性)は、「食費が増加し、ガソリン代も上がっている。月給とボーナスが上がっていないため、物価上昇から悪い影響を受けている。私はアベノミクスから何のメリットも受けていない」と語った。
30日に日本政府が発表したデータによると、7月の日本全国消費者物価指数(CPI)は前年同期比0.7%上昇となり、2カ月連続の上昇を実現し、4年半ぶりの高い上昇率を記録した。その他の経済データも経済の改善を示した。7月の失業率は3.8%に低下し、2008年10月ぶりの低い水準となった。有効求人倍率は0.94倍に上昇し、2008年5月ぶりの高い水準となった。また7月の工業生産額は前月比3.2%増となり、6月の3.1%減の流れを覆した。
日本の閣僚は、プラスのデータがアベノミクスの奏功に対して、確実な証拠を提供したと語った。日銀の高官はこのほど、日銀の政策が成功するか否かは、企業と家庭に物価上昇の実現を信じさせられるかにかかっていると表明した。高官らは、物価上昇への期待が企業と家庭の投資・支出増を促し、デフレの圧力を軽減できると指摘した。
しかし最近の物価上昇はコスト推進型のインフレによる結果であり、主に輸入燃料価格の高騰などのコスト増によるものだ。日銀の金融緩和策は円安を促し、日本の輸出企業に利益を与えた。しかしこの政策は諸刃の剣であり、日本がほぼ100%輸入に依存している石油・天然ガス価格を押し上げている。7月の電気料金は前年同月比10.1%増となり、1981年3月に41.2%という増加率を記録してから最高の増加率となった。
また政府のデータによると、残業代とボーナスが最近やや増加しているものの、月給は2012年6月から減少を続けている。また消費者の信頼感も低下を開始している。安倍首相が来年4月より、現行の5%の消費税率を2段階に分けて切り上げる計画をスタートさせた場合、消費はさらに落ち込む可能性もある。
しかし企業の実力がアベノミクスの刺激を受け、日本が再生された場合、給与水準が最終的に引き上げられるという希望が依然として存在している。これが実際に実現された場合、日本経済にバランスのとれた経済回復をもたらすことになり、適度な幅の需要けん引型の物価上昇を促すだろう。日本の高官とエコノミストは、「大多数の日本企業は、春闘にならなければ基本給を引き上げないため、来年に期待している」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年9月4日