FTAなど中日経済協力に過剰な期待は禁物
最近、日本経済はここのところ、立て続けに負債増加、経済成長の鈍化など不利なシグナルを発信しており、これでさらに日本の対中経済協力重視が強まっている。この傾向について、中日韓自由貿易圏(FTA)の交渉を促進するもので、自由貿易圏が形成されれば、中国企業は自由に日本市場に参入できると考える専門家もいる。また、別の専門家はこれによって日本を懐柔できるなどといっている。こうした視点は中国にとって有利なように見えるが、実際はそうではない。我々は過剰な期待を持たずに、自分の能力に応じてこれをなさなければならない。(文:商務部研究院研究員・金柏松、環球時報掲載)
事実、日本市場にはきわめて強い閉鎖性が存在し続けている。これは米国人が深く経験している。1980年代から90年代にかけ、日本と米国には貿易摩擦が常にあった。米国は日本市場の閉鎖性を非難し続け、外資企業、外国製品の日本市場参入には巨大な障壁が存在した。在日米国大使館は、系統立てた日本市場の閉鎖性を示す証拠や資料に関する書籍を特別に編纂し、日本政府の政策や施策の細則から業界、商工団体の規則、暗黙のルールまでをすべて収集した。現在、中国は日本、韓国という世界的に有名な閉鎖的市場2カ国とFTAを構築しようとしており、その難度はかなり高い。中でも日本市場の閉鎖性と輸出の力は韓国と比べてもかなり強力で、恐ろしいほどだ。ひとたび、中日韓自由貿易圏で関税譲許などの措置が許諾されると中国は市場開放しないわけにいかず、日本、韓国の企業は中国から利益を得て中国企業は困窮するだろうし、想定されていた成果が果たせないばかりか競争力不足を責められる可能性もある。
日本市場は内部障壁が高く、企業や業界団体、商工団体間で取引に細かい取り決めや数えきれないほどの暗黙のルールがあり、日本国内にないか自ら放棄する市場があれば、もしかしたら幾分かのうまみにあやかれるかもしれないが、そうでない限り、中国企業は政府の後押しがあったとしても進出はかなり難しい。