朝鮮の新たな核実験は案の定、より厳しい国際制裁をもたらした。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
国連安保理は11日、第2375号決議を全会一致で採択した。安保理構成国の発言を見ると、国際社会は朝鮮が独断専行で核実験を推し進めることを強く非難し、新たな制裁の実施で同意し、非核化の道に戻るよう朝鮮に促した。一方で、朝鮮半島と北東アジアの平和・安定を維持することも再確認し、外交的・政治的方法による問題の平和的解決を呼びかけた。
朝鮮半島情勢の緊張激化で、最も苦しむのは朝鮮の民衆だ。過去10年余り、朝鮮による核実験とミサイル発射に対して、国連安保理は制裁決議を9回採択した。主に核・ミサイル開発計画の阻止に着眼したもので、通常の民生は標的にせず、人道状況の悪化をできる限り避けてきた。だが、国際社会が核不拡散体制を維持する過程で、拡大し続ける制裁範囲が朝鮮の経済と民生にも影響を与えることは間違いない。9件の制裁決議の実施は、朝鮮の輸出の90%が禁止され、液化天然ガスの輸入が止められ、原油と石油製品の輸入も大幅に削減されることを意味する。これは朝鮮が安保理決議に違反し、国際社会の一致した反対を顧みず、国際的な核不拡散体制を無視して、核・ミサイル計画を推し進めた結果であり、自業自得なのだが、このために核・ミサイル計画を放棄する考えは朝鮮にはなく、これまで同様に「苦難の行軍」「先軍政治」を進めており、なおも「難局を耐え抜き」、引き続き「強硬には強硬」の古い道を歩むとみられる。朝鮮は核武装と経済の並進を公言しているが、どうすれば安全と民生の双方をより良く考慮することができるのだろうか?
朝鮮半島情勢の緊張激化で、最も傷つくのは北東アジア地域の平和だ。朝鮮半島問題は本来冷戦の残滓であり、地域の平和の悩みの種だ。関係各国間の相互信頼の深刻な欠如が朝鮮半島問題の主たる病巣であり、朝鮮半島核問題の出現はその反映であると同時に、これを悪化させもした。朝鮮半島核問題は北東アジアの安全保障情勢に最も複雑で不確定な要素を加えたと言える。
朝鮮は自らの安全保障上及び政権安定上の考えから、「核保有」によって「自己保存」が可能だと考えている。だが朝鮮半島の対立と駆引きの複雑性及び特殊性のために、「核保有」は自らの首にかかった縄となり、「核保有」の動きを強めるほど、孤立と圧力も強まっている。
米国はアジア太平洋戦略上及び対朝戦略上の考えから、「力で弱者をおさえつけられる」と考えている。だが過度の力の誇示と圧力によって、朝鮮は逆に自らの安全保障上の懸念をさらに強め、核・ミサイル計画による自己保存を一層望むようになっている。朝米双方は共に戦略と得失を理性的に計算しているようだが、もし考え方を変えなければ、いつまでも各自の安全保障上の窮地から脱することができず、地域をびくつかせることになる。
国際社会は朝鮮に核保有国としての地位は決して認めないが、朝鮮半島が再び戦火に見舞われることも望んでいない。朝鮮半島の非核化実現、平和・安定維持が国際社会の共通認識だと言える。国連安保理の一連の対朝決議は、いずれも国際社会の折衷案であり、朝鮮の核・ミサイル計画に対して厳しく対応すると同時に、対話と協議による問題解決の余地を大きく残している。
朝鮮の新たな核実験とそれに続く新たな対朝制裁は、朝鮮半島情勢の悪循環の新たな表れだ。朝鮮半島をめぐる各国にはいずれも自らの戦略的考えがあるが、この悪循環はどの国にとっても真の利益にならない。朝鮮半島はすでに、何を捨て何を取るかの選択の時にある。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年9月14日
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