今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の会期中に、全国政協委員を務める中国月探査プロジェクト総設計師である呉偉仁氏が明らかにしたところによると、中国は2020年に宇宙船を打ち上げ、火星の周回・着陸・探査を実現する予定だという。中国火星探査任務プロジェクト総設計師の張栄橋氏は、初の火星探査任務は「周回・着陸・探査」を一度に実現するのは世界に例がなく極めて難易度が高いと述べた。
火星には人類を引きつけるどのような魅力があるのだろうか。大きな課題に直面した私たちは、準備を十分に整えているのだろうか。
中国科学院国家天文台の鄭永春研究員は、火星の研究は人類に多くの啓発をもたらすとしている。火星と地球は太陽系の「兄弟・姉妹」であり、両者の相違点と類似点を研究することにより照らし合わせることができ、極めて価値のある基礎研究だという。
火星に生命が存在するか、あるいは存在したことがあるかは、科学者にとって気がかりな謎だ。研究によると、火星にはかつて、暖かく湿った気候と流動する水があった。科学者は2018年に火星の南極にある氷床の下から、液体の水が存在した証拠を発見した。これは火星の生命を発見しようとする人々の自信を深めた。人々は火星で生活する希望を見出した。
中国初の火星探査機は13台の科学ペイロードを搭載し、火星の地形・土壌・環境・大気を探査する。また火星の水と氷の分布、物理的な場、内部構造を研究する。
全国宇宙探査技術首席科学発信専門家の厖之浩氏によると、今回の任務が成功すれば、中国はさらに火星の表面で試料を採取し帰還する任務を実施する。最終的に火星全体の探査、局部の詳細な探査、着陸エリアの分析、試料の実験室における分析へと進むという。厖氏によると、中国の火星探査計画の全体的な科学目標には、火星への着陸及び生命の存在に関する条件とエリア、火星の土壌の特徴及びその水・氷・ガス・物質の成分、火星の大気・気候的特徴、火星の地質的特徴・変化、比較惑星学の研究・確定などが含まれる。
全国政協委員を務める中国航天科技集団第十一研究院の周偉江研究員がこのほど明らかにしたところによると、中国の火星探査機はすでに表面の設計、空気力・空力熱設計を済ませており、現在は実証実験中だ。また中国は2016年に火星落下傘高空試験を実行し、落下傘のガス充填性能を検証し、落下傘の空気力学データを獲得した。
着陸に成功したとしても、火星ローバーはさらに複雑で過酷な環境という試練を迎える。米国の火星ローバー「オポチュニティ」は昨年、砂嵐により作業を停止し、今年2月に「戦死」を宣告された。
中国は火星探査の「新世代」と言うべきだ。しかし中国は十数年にわたり月探査活動を5回実施し、そのすべてで成功を収めた。深宇宙探査の軌道設計、探査機の独自測位・制御、深宇宙測量・制御通信などのコア技術を検証し、同時に豊富な経験を蓄積している。
今回の任務が成功するかについては、今後の経過を見守る必要がある。成功すれば、中国の月探査に続く深宇宙探査任務の一歩目となる。国家航天局システム工学司の趙堅副司長によると、中国は2030年頃までさらに小惑星探査、火星の試料採取、木星探査、惑星付近の通過といった深宇宙探査任務を実施する。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年3月28日