全ての「味見代行者」が趣味でしているわけではない。中国の東北地域に住む別の味見代行者に連絡を取ってみると、「ネット上で味見代行をしている人がいるのを知って、自分も始めた。それを新しい職業と見ている。意味不明な職業だと思われるかもしれないが、実際には客からのさまざまな要求を満たすことは自分にとっても一種の挑戦であり、社会体験の一つ」との見方を示した。
ある四川に住む味見代行者は取材に対して、「味見代行の利用者は、自分では食べられないからではなく、別の人がおいしそうに食べている様子を見るのがうれしいから利用する場合もある。もちろん、その画像や動画を微信(WeChat)のモーメンツに投稿したり、チャットをするためという利用者もいる。私は10人以上にサービスを提供してきたが、商品がどんな味かを知りたくて味見代行を利用する人はめったにいない」と説明した。
同代行者は、「ほとんどの利用者が、それをどのように食べるか、どの程度食べるか、どのように動画を取るかなどを相談するのを楽しむために利用している。楽しんでいるのは、相談の過程と動画、画像で、食品や飲料品ではない」と感じているという。
取材では、「味見代行者」はいずれも在学中の学生であることも分かった。
「ソーシャル消費」、「体験代行」は一発屋のトレンド!?
「味見代行」だけでなく、ネット上では、「ゲーム代行」、「ネコなで代行」などの書き込みもある。
マーケティング関係者は、「『体験代行』サービスは意味不明と感じる人もいるかもしれないが、ネット上のライブ配信で、誰かが食事をしているのを見たり、耳かきをしたりしているのを見るのと同じ。日常生活の娯楽化サービスで、人々の精神的需要を満たしている」と分析する。
そのようなソーシャル面での需要は、ネット上で表現したり、発散したり、満たしたりすることができ、インターネットがソーシャル消費を促進し、市場はその需要に応えている。
サービスに金を支払うことで、利用者は精神的な満足感を得ることができるだけでなく、「体験代行」サービスを利用することは、一種の「体験報告」を購入するようなものだと言える。
「味見代行者」の登場という現象の背後には、突飛で新鮮なものを好む90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)などの若者のほか、ニューメディアやニュープラットホームなどを通してマーケティングやPRをしようとする業者もいる。
「ソーシャル消費」は、新鮮で、ユニークで、インタラクティブ性が強いものの、どの話題も熱しやすくて冷めやすく、リピーターを期待することはできない。それらは、ゲームや流行、話題作りなどの産物で、安定して持続的な消費スタイルにはなりにくい。そのため、新興のサービスや消費というよりは、「市場のインスピレーション」に過ぎない。 (編集KN)
「人民網日本語版」2019年4月9日