初のブラックホールの写真が10日に公開された。撮影を行った「カメラ」であるイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)も注目を集めている。EHTは南極、チリ(2台)、メキシコ、米ハワイ(2台)、米アリゾナ州、スペインの8台のサブミリ波電波望遠鏡からなっている。科学者は超長基線電波干渉法(VLBI)によりこの8台のネットワークを組み合わせ、口径が地球の直径に等しいスーパー仮想望遠鏡を作り出した。科技日報が伝えた。
光干渉に基づくVLBI技術により電波望遠鏡は地域的な制限を打破し、どれほど遠く離れていても同時に作業できる。それでは中国で注目を集めているFAST「天眼」電波望遠鏡は、なぜブラックホール観測の仲間に入らなかったのだろうか。
中国科学院国家天文台の苟利軍研究員は11日、科技日報のインタビューを受けた際に「最大の原因は動作周波数帯の差だ」と述べた。無線電波はスペクトルが広く、その波長の範囲は約10マイクロメートル〜30000メートルだ。FASTの動作周波数帯は70MHz―3GHzで、受信できる波長は最短でデシメートル級。今回の観測のサブミリ波の波長は1ミリ以下だ。そのため同じ電波望遠鏡であっても、FASTとEHTの受信する周波数帯は交わらない。
苟氏は「サブミリ波は周波数帯の中で最も短い部分で、理論上は望遠鏡の口径が大きいほど受信波長が短くなり、分解能が上がる。そのためサブミリ波を使った観測は、分解能を上げることが目的だ」と説明した。
中国にもサブミリ波望遠鏡があるが、今回はなぜブラックホールの観測に用いられなかったのだろうか。苟氏は「青海省徳林哈の13.7メートルの望遠鏡とチベットのCCOSMA望遠鏡はVLBIネットワーク接続機能を持たない。またネットワーク接続が可能であっても、地理的位置の原因により同時観測が不可能だ。ネットワーク接続望遠鏡は観測の際にブラックホールからの信号を受信できなければならない。ところが中国の2つの望遠鏡はちょうど感度が非常に高いチリのアルマ望遠鏡の裏側に位置する」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年4月12日