2018年に一世を風靡したネットで人気のインスタントラーメンレストラン「泡麺小食堂」は最近、各地のネットユーザーから経営がうまくいかず相次ぐ閉店の様子が伝えられている。目新しさがなくなると、グルメたちはわざわざ数十元(1元は約16.6円)も払ってインスタントラーメンを食べようとは思わなくなった。たとえ一手間加わったスペシャルインスタントラーメンだとしてもだ。同じく一世を風靡したカフェ「答案奶茶」やチョコクロワッサン店「贓贓包」と一緒に登場した「贓贓茶」も今は見る影もない。この1年ほどの間に、ショート動画共有アプリ「TikTok」をはじめとするショート動画プラットフォームがネット人気グルメの発生源となり、一夜にして人気者になった食品がトレンドを追いかける若者たちのチェックリストに早速加わり、市場には「ネット人気レストラン」が雨後の竹の子のように次々誕生した。残念なことにネットでの人気は竜巻のように、一気に押し寄せたと思ったらすぐに去っていってしまう。「北京青年報」が伝えた。
日本の人気ドラマ「深夜食堂」とその中国リメイク版には、店の主人が客に温かいインスタントラーメンを出す場面がある。緑の野菜を少しと目玉焼きを加えただけのラーメンが、冷え込んだ深夜に身体も心も温めてくれる―。この光景がいつの間にかきっかけになり、中国国内でインスタントラーメンレストランのブームが起きた。
「泡麺小食堂」の店舗に入ると、壁一面の棚に世界各国の100種類以上のインスタントラーメンが並んでいる。マレーシアやタイのラーメンには異国情調があり、台湾地区の排骨鳥スープ麺は濃厚な肉味噌味で、昔からある出前一丁は日本から香港地区に輸出され、カフェで大人気になったものだ。これだけいろいろな種類がそろっていれば、お気に入りがきっと見つかる。「泡麺小食堂」は店構えは大きくないが、インテリアがしゃれていて、よく見かける手軽なインスタントラーメンに「繊細な感じ」を漂わせ、強烈なコントラストをなして、オープンすると独特なセールスポイントによって急速にネット人気店のど真ん中に躍り出た。検索すると、北京でまだ営業しているラーメン中心の店舗は15店ほどあり、店名は少しずつ違い、価格は平均30元ほどだ。
ただのラーメンが数十元の商品に生まれ変わる「奥義」はその見た目にある。食べる時は器に盛り付け、ハート型や花型の目玉焼き、可愛らしいタコさんウィンナーを飾る。それから写真を撮ってSNSにアップすると、すべてのプロセスが完了する。