「追加関税有利論」はもう終わり 打撃は米国に

人民網日本語版 2019年05月15日17:02

第11回中米閣僚級経済貿易協議が行われた際、米国は中国からの輸入品2千億ドル(1ドルは約109.6円)相当分に対する関税を10%から25%に引き上げると表明し、これにより中米経済貿易交渉のプロセスは深刻な挫折に直面した。米国は「追加関税有利論」まで打ち上げて、追加関税が米国経済に与える深刻な打撃を覆い隠そうとした。

「追加関税有利論」は無知の産物か、それとも一種の偽装工作なのか。

昨年の「貿易戦争はよいこと」から、最近しきりに喧伝している「中国は米国に巨額の関税を支払っている……米財務省はこの莫大な支払いから利益を得ている」、「関税は従来のような合意を(中国と)結ぶよりはるかに多くの富を米国にもたらす。そして遙かに簡単で速い」、「中国は大幅に減速し、米国は自動的に加速する」などの発言まで、米国政府関係者の一部が、上乗せされた関税は棚からぼた餅のようなもの、苦もなく手に入るものと考えていることがわかる。また追加関税は相手を弱体化させるだけで、自分には少しも損害がないと考えていることもわかる。中には関税を利用してせっせと虚偽のイメージを作り出し、米国経済が追加関税によってますます繁栄すると宣伝する人もいる。海外メディアの評価によれば、こうしたことは米国が好む「勝利をでっち上げる」やり方のまた一つの事例だ。

全米経済研究所(NBER)から発表された学術論文の中で、2018年に米国が貿易パートナーに上乗せした関税と相手国が米国に課した報復関税を合わせると、米国経済が被った損失は78億ドルに達する。関税は米国の消費者とメーカーに年間688億ドルのコスト負担を強いている。米ビジネスコンサルティング機関のグローバル貿易パートナーシップがまとめた研究報告では、2500億ドル分の中国からの輸入品に25%の関税をかけ、輸入鉄鋼・アルミニウム製品にも追加関税を課すと、米国の雇用が毎年93万4千人減少するという。

米国の「追加関税有利論」は次のような場面を思い描く。追加関税は中国のポケットから努力せずに金を引き出すことと同じなので、米国の一部の人が労せずして利益を得ることになる。しかし実際の状況はそうではない。米国の輸入業者や小売業者の関税を消化する力には限界があり、関税が上がった分は最終的に消費者の支払う分に転嫁される。米政府は企業が中国に代わる輸入源を見つけることを期待するが、多くの企業オーナーはお手上げの状態だ。中国製品は高品質・低価格で、同じような商品を中国以外で調達することは不可能だ。こうして増大したコストは消費者に転嫁するしかない。ニューヨーク連邦準備銀行、プリンストン大学、コロンビア大学の経済学者の研究によると、追加関税で米国の消費者と輸入業者は昨年に一月あたり44億ドルの損失を被り、米国が獲得した関税収入は『輸入品を購入した消費者の被った損失を補填するには足りない』ものだった。米国の消費者のポケットからお金を出させて、空からピカピカのドルが降ってきたなどと言っているが、米国の消費者のサイフが空になれば、もう買い物はできない。

現代の世界では、心の欲するままに生きることは誰にもできない。米国が誰かに追加関税を強制すれば、その誰かは無関心ではいられず、報復に転じることは間違いない。追加関税が米国にもたらす痛みははっきりしている。米国の多くの農家が「経済的に苦しい時期」のさなかにある。米政府は昨年、120億ドルの農業補助金を出すと発表したが、生産コスト上昇と輸出減少がもたらした損失に比べれば、焼け石に水と言わざるを得ない。米国の農家と企業オーナーの多くが、「これ以上耐えられない」と叫んでいる。米国の小売、技術、製造業、農業貿易機関150ヶ所あまりを代表するロビー団体・ハートランドを苦しめる関税はこのほど声明を発表し、「ここ10ヶ月あまりの間に、中国ではなく米国が、貿易戦争によるすべての代償をずっと引き受けてきた。関税引き上げは米国の農民、企業、消費者を苦しめるだけだ」との見方を示したが、米国の政策決定者たちはいまだにこのような意見を十分に聞き入れていない。

「追加関税有利論」を大々的に唱えるのは、自分を欺き他人も欺くことにほかならない。追加関税によって、あるいは関税を引き上げると威嚇することによって中米貿易摩擦問題を解決しようとするのは、完全に間違いであり、関税に期待を寄せれば最後はぬか喜びに終わることになる。そこで次のように言う。米国が十分な知恵によって自国の利益を保証しようとするなら、中国と向き合って進み、相互尊重と平等互恵を基礎とし、交渉によって問題を解決しなければならない。(編集KS)

  

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