「名探偵コナン」の場合、漫画の連載が始まったのは94年で、96年にアニメ化され、97年に映画のシリーズが始まった。06年には実写化され、映画版とテレビドラマ版が作られた。オフラインでは、見慣れたグッズ専門店のほか、コナンモチーフのカフェが次々オープンし、今年4月には上海店もオープンした。ユニクロなどとコラボレーションしたアパレル製品も発売された。
しかし「テニスの王子様」は続篇になって「わけの分からない道」を歩み始めた。この作品には特徴あるいろいろなキャラクターが登場し、それぞれにファンがついている。これは優位性になるはずのものだが、作者がファンを操縦する元手になってしまった。「新テニスの王子様」は連載開始当初からネットで人気投票を実施して、キャラクターがどれくらい登場するかを決めていたが、ファンの間では非常に評判が悪かった。今年2月には主人公・越前リョーマの中国のファンクラブが解散し、解散にあたって「作者が人気に基づいて出番やキャラクター設定を決めて作品を台無しにしている現状にひどく失望した」とコメントを出した。人気作品がこのような事態に陥ったことは残念でならない。
▽輝きは戻らない
宮崎駿監督は15年に取材に答える中で、「日本のアニメは袋小路に向かっている。現状をみるとオタクだけのものになっているからだ」と述べた。
日本のアニメ市場が二次元のニッチ化傾向に迎合するようになって久しい。動画サイト「bilibili」(ビリビリ)に投稿する胡さんは、「時代が違い、市場が違い、単純に比べることはできないが、これまでの市場に出回っていたアニメ作品のジャンルが少なく、主流だった熱血ものは市場のリターンがよく、制作面でも品質面でも保証されていた。ここ数年は、もっといろいろなジャンルのアニメ作品が競い合うようになった。大衆に受けいられる題材でなくても、狭い世界で歓迎されれば、すぐに収益につながる。こうしたことも市場に大衆的な人気作品が生まれなくなった一因だ」との見方を示す。
ニッチ化したアニメ作品は広い世界に出ていくことができず、大衆向けの作品は品質が低下の一途をたどっている。多くの企業や出版社がリスクを軽減するため、同じような作品を大量に制作するようになった。豆瓣ではネットユーザーのTidさんが、「コナンのストーリーはどんどんつまらなくなっている。自分にとってコナンはおつきあいで見るもので、終わりまで我慢して見ている」とのコメントを寄せた。
このほかアニメの作り手の収入の低さも、日本のアニメ市場の今後の発展の障害だ。業界関係者によると、日本のアニメ制作従事者は絵コンテやキャラクターの原画を描いても数千円しかもらえず、報酬が安すぎる。そのため優れた人材が流出してしまい、制作にはより大きなプレッシャーがかかって、悪循環に陥り、日本のアニメ産業をキリキリと苦しめることになっているという。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年7月3日