日本と韓国の貿易紛争が激しさを増している。日本の輸出規制措置に対処するため、韓国は大手財団のトップが日本に行ったり、世界貿易機関(WTO)に訴えたり、また企業に「苦しい時期を一緒に乗り切ろう」と呼びかけたり、「官民緊急体制」を構築しようとしたり、さらには米国に支援と調停を求めるなど、緊急動員体制のようにして、ほぼ「あらゆる対処プラン」を検討している。しかし現時点で、韓国の対応は弱く抽象的で、実質的な効果を上げることは難しく、逆に外部になすすべがないといった印象を与えてさえいる。日本が韓国に対して制裁措置を打ち出した背後には、複数の動機があるが、つきつめていくと両国間に横たわる民族的な恨みの感情に根源があると考えられる一方で、これ以外にも軽視できない「淵源」がある。
米ブルームバーグ社によると、韓国は今や世界一のメモリチップ製造国で、この地位は先進国から奪い取ったものだ。振り返ると、まず日本が1980年代に米国からトップの地位を奪い取り、その後、韓国企業が90年代に新勢力として突如現れ、日本企業の市場シェアは急激に低下した。ただ、韓国企業は今でも日本の生産した特定の工業化学製品に依存している。こうした経緯を振り返ると、多くの日本人が今回の動きは両国の外交問題への報復措置とみているが、日本の指導者たちが韓国企業が日本の基幹産業の1つを奪い取ったことに憤慨し、市場を奪い返そうと考えたものである可能性もある。
実際、メモリチップの製造分野で素晴らしい成果を上げた以外に、韓国はこれまでずっと材料産業の振興を忘れていない。2013年11月、韓国の産業通商資源部が発表した「第3次材料部品発展基本計画」では、20年をめどに材料・部品産業の輸出額を6500億ドル(1ドルは約108.3円)に引き上げ、貿易黒字を2500億ドルとし、日本を抜いて世界トップ4に入ることを目標に掲げた。世界レベルのコア材料10品目を開発するため、韓国政府は16年までに1兆7千億ウォン(1ウォンは約0.09円)の民間投資と3千億ウォンの政府投資を行うことも計画した。
今年6月、韓国政府は2030年をめどに製造業の世界4強入りを目指す「製造業ルネサンスビジョン」を発表し、現在世界6位の輸出規模が30年までに4位に向上することや、世界トップレベルの製造業企業の数を現在の573社から2倍の1200社に増やすことを打ち出した。韓国産業研究院は、「現在、韓国製造業の付加価値率は25.5%で、経済協力開発機構(OECD)の平均水準の30%に遠く及ばない。韓国の部品、材料、設備の対外依存度の高さと技術競争力の低下などが大きな原因だ」との見方を示す。
今回の日本の規制措置に直面して、日本紙「日本経済新聞」によれば、日韓半導体産業の関係者は、両国の技術格差は大きく、韓国企業は短期間で日本以外から代替製品を調達することは難しいとみられるが、韓国が官民を挙げて国産化と代替品の調達を推進する可能性はあるとみている。韓国は今は耐えるしかなく、今後、外交手段を通じて解決をはかることになる。多くの産業ウォッチャーが、今回の摩擦の根本には「政治」があるとみている。