2019年7月4日、日本政府の韓国に対する半導体材料の輸出規制措置が発動された。韓国政府は目下、対抗措置を検討中で、韓国政府が関連の材料、部品、設備生産に大規模な投資を行い、日本製品の代替を実現する道を探り、日本の形を変えた制裁措置による生産の危機を緩和することが主な措置になるとみられる。(文:周永生・外交学院国際関係研究所教授、日本研究センター副センター長。中国網に掲載)
日本の形を変えた制裁措置の影響を考えると、多方面に長期的な影響をもたらす可能性があり、マイナスの効果がより大きいとみられる。
第1に、日本の韓国に対する形を変えた制裁措置は確かに韓国の半導体製造業に深刻な衝撃と打撃を与えるとみられるが、同産業における韓国の優位な地位を揺るがすことはできず、韓国の関連製品の製造・生産を遮断することはできない。韓国の輸入材料のストックは多くはないが、韓国は世界から調達したり、資金や技術を投入して材料の生産を拡大したりして、日本がシェア90%と独占状態にある材料の代替を達成することができる。よって、日本の今回の政策は、長期的にみれば、韓国と日本との経済関係を徐々に疎遠にし、日本のハイテクやカギとなる部品に対する韓国に依存度を引き下げ、日本企業は長期的な損失を被ることになる。
第2に、韓国の政府と世論は日本を高度に警戒するようになり、カギとなる技術・部品を独自に開発・生産し、日本と切り離した経済政策を実現しようと努力するようになり、こうして政治的にも心理的にも日本との距離が全面的に広がってしまう。韓国と日本は政治的には長らく不和な状態が続き、北東アジアにおける米国の安全保障上の利益を損ね、米国の朝鮮核問題をめぐる政策や、北東アジアにおける安全保障政策を、より複雑なものにしていく。米国は北東アジアのパートナー同士の関係調整に手を焼き、3ヶ国は内側で激しく消耗してしまう。
第3に、日韓関係の長期的不和は、北東アジアの中日韓自由貿易協定(FTA)の推進を苦境に陥れており、このことは中日韓に長期的な損失と損害をもたらす可能性がある。3ヶ国間のFTAは、良好な政治・経済ムードの中でなければ、交渉を加速し、合意達成を促進する効果は上げられない。日韓関係は長期的に硬直化し、さらには対立状態に陥り、解決の糸口は見えず、袋小路に陥った場合、中日韓の経済協力協定は、短期間で調印に至ることは難しく、ひいては北東アジアの経済協力に長期的な損害を与える可能性がある。
グローバル化の波は発展しつつあり、これを遮ることはできない。地域経済協力は絶えず古いものを退けて新しいものを出しており、経済の連携がますます密接になる世界情勢の中で、経済制裁は短期的には強い方に利益をもたらすかもしれないが、双方が対抗し合うようになれば、最終的にはどちらも損害を被ることになる。日韓の摩擦が地域経済にどのような影響をもたらすか、しばらく様子をみる必要がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年7月10日