「三伏」入りとなった7月12日、1年でもっとも暑い盛りがやってきた。エアコンの効いた部屋でキンキンに冷えたスイカを食べることは、多くの人にとって「真夏」を過ごす理想的なスタイルといえるだろう。中国新聞網が伝えた。
扇風機もエアコンもなかった昔の人にとって、「三伏」という真夏の暑さはより耐え難いものではなかったのだろうか?実際のところ、そうした杞憂は「考えすぎ」と言えるかもしれない。昔の人は竹製のすだれで熱を遮断し、室内に氷の塊を置くなどして過ごしており、彼らの「三伏」は、もしかしたら現代の人々よりも潤いに満ちていたかもしれないのだ。
「三伏」になぜ「伏」の字が入っているのか?これは、天気が非常に暑くなるため、「伏せた」状態で過ごし、動き回るのには適していないというアドバイスの意味が込められているだけでなく、陽の気が極めて高まっているため、陰の気が潜伏している状態も指している。「三伏」を旧暦から計算すると、太陽暦の7月中・下旬から8月上旬の間にあたる。
「三伏」入りした高温の北京で、日傘をさして強烈な日光を遮る市民(撮影・李卿)。
「冬の病を夏に治す」三伏貼
「三伏」入りすると、「三伏貼」に関する様々な情報を目にするようになるが、一体これは何なのだろうか?
一般的に、「三伏貼」は、膏薬の一種。一説では、旧暦の「三伏」の最初となる「頭伏」の日に「三伏貼」を貼ると、冬に発症するいくつかの病を予防することができるという。その症状によって、一般的に膏薬4枚を異なるツボに貼り付け、8時間そのままにしてから、剥がせばよいとされている。
民俗学専門家の高巍氏は、「三伏貼は比較的普及しており、数種類の中医薬を調合して作られている。異なるツボに貼ることで、陽の気を補い、血流を良くする作用がある」と説明した。
高氏は、「このように、『冬の病を夏に治す』ことには、一定の道理がある。陽の気に満ちている夏に、体内の老廃物を排出することで、抵抗力が高まり、それによって秋・冬の天気の変化が身体にもたらすマイナス作用を抑えることができる」と続けた。
雲南省中医病院の医師が作った「三伏貼」(撮影・任東)。
昔の人の潤いある「真夏の過ごし方」
「三伏」の時期をどのように過ごすかについて、現代人はそれほど心配する必要はない。扇風機もエアコンもあるし、様々な冷たい飲み物もある。しかし、昔の人はどうだったのだろうか?彼らにとって「三伏」はより耐え難いものではなかったのだろうか?この問いに関する高氏の答えは、「そうでもない」だった。
「農村の場合、まさに一番忙しい時期と重なるため、確かに大変だっただろう。しかし昔は生活リズムがゆったりとしていたため、多くの人は時間的に比較的余裕があり、通常、気温が高い時間帯に外出することは避けていた。都市の場合はその納涼の方法はより恵まれていた」と高氏は指摘する。
まず、その土地に適したスタイルで家が建てられていた。北京を例に挙げると、伝統的な建築スタイルである四合院では一般的にその部屋の天井のほとんどが「人の字」の形をしており、その下に天井を作って「隔離帯」を設けることで、熱気が流れてきても、部屋に直接入りこむことを防いでいた。
護国寺街の四合院(撮影・王文波)。
昔の家屋はそのほとんどが、「前方に廊下、後方に建物」という配置となっており、太陽が高く上る昼になると、まず廊下のすだれを下ろし、次に入口にかかっているすだれも下ろし、2層で遮熱するため、家屋内部は自然な涼しさを保ち、しかも風の流れが遮られることもない。
さらにはほとんどの家で、部屋の中に大きな銅製たらいを2つ置く家が多かった。たらいの中には氷の塊を入れ、その上で季節の果物である梨や桃を冷やしておけば、果物の清々しい香りも部屋中に漂い、とても心地良かったことだろう。
高氏は、「昔の人の知恵は尽きることがない。このほかにも、暑気払いの方法はたくさんある。基本的にはいずれも大自然の変化に適応したもので、納涼のやり方も極めて環境に優しい。また当然のことながら三伏の時期に汗が出るのは自然なことであり、汗はかくべきだ。これもまた身体の毒素を排出する一つの方法だからだ」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年7月12日