深センの「サイレント・カフェ」 (2)

極限まで集中した状態で淹れたコーヒーは「100%ピュア」

人民網日本語版 2019年12月17日10:14

見習いとして雑用をこなすことからバリスタになる訓練まで、阿迪さんにとっては決して容易なことではなかった。健常者のバリスタなら、ミルクを泡立てる時、ミルクと蒸気がぶつかる音を頼りにミルクの質感と厚みを判断することができる。カッピングの際には、コーヒーをすすることで、コーヒーの香りや口当たりをより繊細に分析することができるが、すするという動作もまた、音からの判断によるところが大きい。

阿迪さんはこうした練習を休憩時間も惜しんで何度も繰り返した。一つ一つのプロセスから一つ一つの動作まですべてに細心の注意を払い、試飲を繰り返すことで味を定めようとした。数杯の試飲から始まった練習はついには十数杯にまでなってしまい、夜になっても眼が冴えてなかなか眠つけなかったこともしばしばだったという。

中国の口コミサイト「大衆点評」には、数多くのネットユーザーから、このカフェに心温まるメッセージが寄せられている。

@元元・露露・張張さん

「声は無くても愛のあるコーヒー、障害を持つ人が本当に社会に溶け込めるよう支援したい。神様は、1枚のドアを閉めた時は、必ず彼らのために別の窓を開けてくれるから。極限まで集中した状態で淹れたコーヒーを一口飲むと、正真正銘ピュアな味わいが口の中に広がる。」

@玲玲さん

「このイケメンにコーヒーを1杯飲みたいと話しかけたのに、ずっと無視されたままで、私はムッとしていた。その後ようやく、彼は聞こえなかったのだと知り、本当に自分が恥ずかしかった」。

@走る兎さん

「このカフェに初めて来たとき、とても静かなので試験勉強をするのにピッタリだと思った。その後、何度か来てみて、ここで心の静けさを得ることができて、退屈な毎日の中で自ら行動するエネルギーを与えてくれる場所だと分かった」。

統計データによると、中国には2千万人以上の聴覚障害者がおり、その多くは無職または失業状態にある。彼らは、健常者と交流する術がなく、健常者と同じような生活を送ることもできない。より多くの障害者が、尊厳ある生活を送り、自ら起業や平等な就職を実現できるよう、社会は彼らにより多くの関心を注がなければならない。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年12月17日

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