吉林大学が明らかにしたところによると、同大学化学学院の高岩准教授のチームは「液化茎土壌改良総合利用」プロジェクトを実施し、亜臨界水技術を利用し家畜の糞と農作物の茎部を液体と粒状の有機肥料に転換し、アルカリ性土壌を効果的に改良し、農家の増産を後押しした。新華社が伝えた。
国家貧困者支援活動重点県としての吉林省白城市通楡県は、土地が広く人口密度が低い。1人平均の耕作地は22ムー(約1.47ヘクタール)にのぼるが、その多くがアルカリ性土壌で、1ムーあたり食糧生産量は吉林省平均の半分にも満たない。現地では多くの農作物の茎部と家畜の排泄物が科学的に処理されていない。
高氏はこれらの問題に的を絞り、バイオマスによりアルカリ性土壌を改良する方針を掲げた。水は臨界状態で酸塩基触媒作用を発現する。茎部と家畜の排泄物は亜臨界水の作用を受け、有機質肥料に転換することができる。この変化を分かりやすく例えるならば、「圧力鍋で肉を煮込む」ということになる。茎部と家畜の排泄物を亜臨界水で煮込むとすると、煮込んだ後のスープと固形物が有機質肥料となる。この過程で化学物質を加えることはない。チームはさらに生産設備を独自設計した。
通楡県農業科学技術普及ステーションの測定によると、同技術を採用したトウモロコシの生産量が大幅に増加した。現地のアルカリ性土壌はここ数年改良され、食糧生産量が10%以上増加している。同技術は3件の国家発明特許を出願しており、関連研究は学術誌「Journal of Analytical and Applied Pyrolysis」と「農薬生物化学・生理学」に掲載された。中国科学院長春応用化学研究所の張海涛副研究員は、「高氏のチームは亜臨界水技術を、茎部などのバイオマスによる有機肥料生成に用い、さらに有機肥料を使い土壌修復とアルカリ性土壌の改良を行った。大胆にイノベーションに取り組み、実践によって検証された」と述べた。
同技術はすでに産業化されている。高氏は「チームは今後、茎部で作る肥料・農薬の一体化、植物による工業汚染土壌の修復、工業・農業廃棄物共同利用の模索と研究を展開する」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年12月18日