東京五輪延期 日本に重大な損失
東京五輪延期の決定プロセスでは各方面による駆け引きが盛んに行われ、とりわけ日本の駆け引きが目を引いた。感染症が世界に広がり、東京五輪が実際のところ予定通りに開催することが不可能な局面になっても、日本は態度を変えなかったが、IOCが方針を転換すると、延期に同意せざるを得なくなった。
各方面の駆け引きは結局のところ何のためだったのか。答えはもちろん金だ。
中国誌「日本経済研究」がまとめた統計では、競技場の建設と宿泊施設の供給拡大のため、日本政府はこれまでに約400億ドル(1ドルは約108.0円)を投入した。
東京五輪が1年延期されると、競技場の維持管理費と各競技団体の代表選考会の経費などで、合計58億ドルの損失が出る。
前出の章氏は、「1年延期されると、すべての競技場の維持管理、キャンペーン、運営活動を引き続き行わなければならない。これが1年続くと、日本の各機関の予算も必然的に膨らむことになる」と指摘した。
SMBC日興証券の予測では、「五輪が今年開催できなければ、間接的な経済損失は750億ドルもの巨額になり、日本の通年GDP(国内総生産)の1.4%になる。延期により日本のGDPに0.7%から1.4%のマイナス成長をもたらす可能性がある」という。
16年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、安倍氏はスーパーマリオに扮してサプライズで登場し、一日も早く五輪を開催して長期的に低迷する日本経済を好転させたいとの意欲をにじませた。日本国内では、56年前の1回目の東京五輪が日本を救って復興に導いたとの見方が一般的だ。
日本は1964年の東京五輪に1兆円、当時のレートで換算すると30億ドルをつぎ込み、関連施設などの建設を後押しした。大規模なインフラ建設により、国民経済は急速に成長し、62年から64年にかけての「五輪景気」をもたらした。
データをみると、日本の実質GDP成長率は62年は7.0%で、63年は10.5%に上昇し、64年はさらに13.1%に達した。東京も日本全体も経済力と都市の風景に質的に変化が起こった。
かつて五輪のメリットを味わった日本は、再び2020年東京五輪に希望を託し、非常に大規模に人力と財力を注ぎ込み、五輪を契機にかつての輝きを取り戻そうと強く願っている。
しかし新型肺炎の発生により、東京五輪の頭上には分厚い暗雲が垂れ込めた。
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