多くのイベントにも波及
東京五輪延期の決定が難しかったのは、日本に巨大な損失をもたらすからだけではなく、五輪のスポンサー、テレビ放送局、さらにはIOCや他のスポーツイベントにも重大な影響を及ぼすからだ。
21年の夏には世界陸上、ユニバーシアード、サッカーのワールドカップ(W杯)といった大型スポーツイベントが予定されている。20年開催予定のユーロ2020、コパ・アメリカも感染症の影響で21年夏に延期された。五輪が来夏に延期されると一連の連鎖反応が起こる可能性がある。
北京大学国家体育産業研究基地の何文義研究員は、「五輪、W杯はいずれも事前にしっかり予定が決まっているイベントで、スケジュールはかなりタイトだ。ワールドアスレティックス(IAAF)は世界陸上をすでに延期しており、さらに延期になれば、22年のアジア大会にも影響するかもしれない。冬季五輪もある。夏季五輪と冬季五輪は本来は2年ごとの開催だが、東京五輪が延期になって、間隔が6ヶ月しかなくなり、必ず影響が出るだろう」と述べた。
3月3日、米エンターテインメントグループのNBCユニバーサルは、「当社は東京五輪に向けて約12億5千万ドルの全国規模の広告枠を売り出し、五輪開催時の広告枠は9割方埋まった。今はこの広告枠をどう処理するかが新たな問題になった」と発表した。
東京2020組織委員会の計画では、東京五輪の収入は約6300億円に上り、うち3分の2近くがスポンサーからの収入だという。しかしスポンサーの契約期間はそれぞれ異なり、五輪の延期により他の契約期間とぶつかる可能性が出てきた。
19年6月、中国の乳製品大手の蒙牛乳業は米コカ・コーラと共同で、IOCと30億ドルの契約に調印した。契約期間は12年間で、蒙牛は五輪の最高位スポンサー「TOPパートナー」の協同協賛企業になり、21年に契約が発効する予定だ。日本の乳製品大手の明治も東京五輪のスポンサーで、ゴールドパートナー契約を結んでいる。
「TOPパートナー」には排他的独占権が与えられている。同じ時期のスポンサーの中に競合する企業が並ぶことは認められないということで、これも東京五輪のスポンサーをめぐる大きな問題になるとみられる。
競技、版権、商業スポンサーシップなどの事業だけでなく、五輪という世界トップレベルの知的財産権に関わる商業的利益をめぐっては、スポーツマーケティングや派生商品、さらには二次元の展開などもある。東京五輪の影響で倒れ始めたドミノは、ますます広がりをみせ各方面は神経をとがらせている。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年4月14日