その後、このエリアには独創的な建築物が次々登場した。安藤忠雄さんと浜野安宏さんなどの建築家やプロデューサーが同潤会アパートの建て替えに関わり、文化的ランドマークの表参道ヒルズが誕生した。また表参道にはディオール、トッズ、プラダなど高級ブランドの旗艦店が次々オープンし、どれも世界的に有名な建築家がデザインした前衛的な建物だ。こうして竹下通りを中心とするローエンド路線、ファッションブランドのア・ベイシング・エイプを創業した長尾智明さん、アンダーカバーのデザイナーの高橋盾さん、ファッションブランドのグッドイナフを創業した藤原ヒロシさんを擁する裏原宿のストリート消費、表参道の高級ブランドという3タイプの商業文化エリアが融合しつつ発展することになった。
新しい時代を迎え、日本経済の低迷とグローバル金融危機の影響により、日本のファッション消費は変化した。単身世帯の消費、一人分の「個食」、移り気でサイクルの短い商品の流行などを受けて、街並みとコミュニティの商業は再びモデル転換し、クリエイティビティ、文化、商品の種類がさらに細分化し、位置づけもより精密になった。「カワイイ」文化を体現する店舗、よいものの魅力を伝える高級古着店、流行中のブランドを扱うセレクトショップ、快適で落ち着いたショッピングセンター、根津美術館などがある。
さまざまな発展段階の中で、このエリアでは昔からの住民と商業施設とのトラブルも起きている。表参道の発展の過程は、各方面の利益は常にぶつかり合いながら、住民と商店のコミュニケーションが少しずつ円滑になっていったプロセスでもある。町内会、店舗のオーナー、建物のオーナー、NPOの渋谷・青山景観整備機構(SALF)などさざまな主体が共同で原宿・神宮前エリアの改善を目指す団体を立ち上げ、定期的に会合を催し、問題を速やかに処理するとともに、地方自治体に改善改革を提起するなどした。かつて日本で行われた21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)では、住民と店舗オーナーが一緒に街の掃除をしたり、道路を補修したり、緑を植えたりして、環境が全体的に向上した。成果が目に見えるようになると、店舗やオフィスが次々とこの団体に加入し、住民、地方自治体、店舗のコミュニケーションの橋渡し役になった。このようなコミュニティ作りは街の繁栄を支える非常に重要なものだ。
大きな危機は大きなチャンスでもある。現在、中国も世界もビジネスの発展は最も困難な時期にあるが、これは同時に新たなビジネスチャンス、新たな市場、新たな環境をはぐくむ時期だともいえる。原宿・表参道の街並みの発展とモデル転換の過程では、消費層についての社会心理学的な正確な把握、清潔で自然豊かで安全な街並みという環境作り、建築物の形態の有機的な溶け合い、店舗のサービスのイノベーション・バージョンアップを誘導する総合的インキュベーション、コミュニティとエリアが共同で作り出すガバナンスシステムなどは、中国の都市商業の発展にとって参考になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年4月21日